(9.01-9.10 は、現在準備中です。)
9.01
(ヒント)
鏡に写した形が役に立たない(重ね合わせることができなずに別の形のものになってしまう)ものが、キラルである。
(解答例)
9.02
9.03
(ヒント)
アラニン(2-アミノプロパン酸)の2位の炭素は、結合している4つの置換基が全て異なるため、キラル中心炭素となっている。この炭素を中心として、正四面体の対称性を考えることになる。教科書289ページの図9.2のように、一方の鏡像異性体を書くことができたら、4つの置換基のうちどれでも2つを入れ替えると、もう一方の鏡像異性体となる。(2つの置換基の入れ替えを奇数回行った場合は鏡像異性体になり、偶数回の入れ替えではもとのままである。)
アラニンの3次元模型
(解答例)
9.04
9.05
(ヒント)
比旋光度は、教科書293ページにその定義が述べられているように、1 g/mL の濃度の溶液を10センチ長のセルで測定したときに観測される回転角のことである。これを求めるための計算式は、教科書294ページに載っている。
コニインの3次元模型
(解答例)
9.06
(ヒント)
6章でも学んだ Cahn-Ingold-Prelog則を用いる。教科書295ページ、9.5節を参照すること。
(解答例)
9.07
9.08
9.09
(ヒント)
まず、(R), (S) のいずれでも構わないから、一方の鏡像異性体を描いてみること。その上で、自分の描いた鏡像異性体の立体配置を決めること。そして、問いで求めらている立体配置とは逆の場合は、キラル中心炭素の置換基のうち、任意の2つを入れ替えると良い。
(S)-2-ペンタノールの3次元模型
(解答例)
9.10
(ヒント)
メチオニン(2-アミノ-4-メチルチオブタン酸)のキラル中心は、アミノ基の結合している2位の炭素である。
メチオニンの3次元模型
(解答例)
(9.11-9.20 は、現在準備中です。)
9.11
9.12
9.13
(ヒント)
イソロイシン(2-アミノ-3-メチルペンタン酸)の場合、2位の炭素がキラル中心である。
イソロイシンの3次元模型
(解答例)
9.14
9.15
(ヒント)
メソ体を持つ条件とは、2つのキラル中心があり、そのキラル中心が同じ4種類の置換基を持っていることである。(キラル中心がそれぞれ異なる組み合わせの置換基を持つ場合は、鏡像と重ね合わせることは不可能であるから。)
(解答例)
9.16
9.17
(ヒント)
4配位の原子で、4つの置換基がすべて異なるものがキラル中心。1つのキラル中心ごとに2つの鏡像異性体となるから、n個のキラル中心があれば、最大で2
n個の立体異性体がありえる。
モルヒネの3次元模型
(解答例)
9.18
(ヒント)
図9.13を参照すること。この図と、フェニルエチルアミンの立体が逆であるだけであることに留意せよ。
(解答例)
9.19
(ヒント)
分子式が等しいものが異性体である。異性体は、構造異性体(官能基の種類の異なるもの、結合の順序が異なるもの)と立体異性体がある。教科書307ページを参照のこと。
(解答例)
9.20
(ヒント)
臭素 Br
2 との反応でブロモニウムイオン中間体が生じる反応、ブロモニウムイオン中間体と臭化物イオン Br
- との反応、の2段階について、それぞれ立体的にどうであるかを考えること。
(解答例)
(9.21-9.30 は、現在準備中です。)
9.21
(ヒント)
9.20と同様に考える。臭素 Br
2 との反応でブロモニウムイオン中間体が生じる反応、ブロモニウムイオン中間体と臭化物イオン Br
- との反応、の2段階について、それぞれ立体的にどうであるかを考えること。
(解答例)
9.22
(ヒント)
HBr の付加反応の位置選択性と立体選択性について考慮すること。この問いでは、はじめにキラル中心を持つことに注意。
また、HBr との反応は、1段階目:水素イオンとの反応によりカルボカチオン中間体を生じ、2段階目:カルボカチオンと臭化物イオンの反応、に分けて、それぞれ立体的にどうであるかを考えること。
(解答例)
9.23
(ヒント)
HBr の付加反応の位置選択性と立体選択性について考慮すること。
(解答例)
9.24
(ヒント)
教科書 9.17 節の記述を読み直し、プロキラル中心、すなわち、プロ-R、プロ-S の定義をきちんと整理しなおすこと。
2つの水素以外の置換基について、順位を決めること。次に、水素のうちの1つを「置換」により、3番目の要素として数え、残った水素を4番目とする。この置換で生じる立体がSならば、この置換した水素は「プロ-S」であるという。
なお、他の置換基(原子団)の順位を変えずに2つの水素に順位をつけて考えるだけであるから、2つの水素のうち一方がプロ-Rであれば、必ず、ペアとなっているもうひとつの水素はプロ-Sである。
(解答例)
9.25
(ヒント)
教科書 9.17 節の記述を読み直し、非対称カルボニル化合物のプロキラル面、すなわち、re-面、si-面 の定義をきちんと整理しなおすこと。
面を単純にある方向から眺めたときの回転によって決まるということは、一番優先順位の低い置換基を、面の反対側につけたとして数えるのと同じ操作である。
(解答例)
9.26
(ヒント)
この「還元反応」において、何がカルボニル基に対して求核攻撃しているのかを、式の左右で見比べて確認すること。
また、出発物であるピルビン酸のカルボニル基について、どちらの面が re-面で、どちらの面が si-面であるのかを確認せよ。その上で、新たに加わった置換基(原子団)がそのそれぞれの面より付加した場合の立体について考えること。
一般に、ヒドリド(H
-)の求核攻撃で進行する反応を、ヒドリド還元と呼ぶ。
(解答例)
9.27
(ヒント)
いずれの化合物も、2-クロロプロパン酸である。2位の炭素がキラル中心であり、光学活性な分子である。2位の炭素の立体を考えて、(R)と(S)に区別すること。
(解答例)
9.28
(ヒント)
セリン(2-アミノ-3-ヒドロキシプロパン酸)のキラル中心は、2位の炭素である。また、アドレナリンの炭素はフェニル基と水酸基の結合した炭素である。
セリンの3次元模型
(解答例)
9.29
(ヒント)
それぞれ、キラル中心を2つずつ持つ化合物であるが、その2つのキラル中心を結ぶ線を2分する面について考え、この面に鏡を置いたときに重なるかどうかを判断する。分子が鏡面対称である場合はメソ体となり、たとえキラル中心を持っていてもキラル(光学活性)ではない。
(解答例)
9.30
(ヒント)
この分子では、キラル中心炭素は2つある。
(解答例)
(9.31-9.40 は、現在準備中です。)
9.31
(ヒント)
旋光計での回転角は、試料濃度に比例し、また、試料管の長さにも比例する。また、比旋光度の定義については、教科書 9.3 節を参照のこと。
(解答例)
9.32
(ヒント)
まずは、分子の構造式を書いてみること。その上で、キラル中心があるかどうかを判断すること。(その場合、水素が2つ以上結合している炭素は、当然キラル中心ではないから、炭化水素のみについて考える場合は、第3級、第4級の炭素のみについて考えればよい。)キラル中心を持っていても、メソ体のように鏡面対称性を持つ場合はキラルではない。
ただし、同じ置換基のセットをもつキラル中心が2つ(以上)ある場合は、そのキラル中心の立体によって、メソ体である場合と、ジアステレオマーである場合とがあり得るので注意すること。
(解答例)
9.33
(ヒント)
(a) 炭素数5のアルカンとして、n-pentane の他にあと2つの構造異性体がある。それらについて、一箇所の水素を塩素で置き換えたものについて、キラル中心を持つものを探す。2つの化合物が問いの答えとして適しているので、2種類とも書くこと。
(b) (a)と同様に、炭素数6のアルカンのうち、一箇所の水素を水酸基で置き換えることを考える。n-hexane のから誘導されるアルコールは2種類がキラル中心を持ち、n-hexane の構造異性体のうち3つは、計4つのキラル中心を持つアルコールを与えるが、n-hexane の構造異性体のうち1つは、キラルなアルコールを与えない。
(c) 炭素数6のアルカンのすべての構造異性体を書き、任意の位置を一箇所二重結合にすることにより、キラル中心ができるかどうかを確認すればよい。答えは1種類のみである。
(d) 炭素数8のアルカンのすべての構造異性体のうちから、キラル中心を持つものを探す。まず、主鎖として8のもの、主鎖として7で側鎖にメチル基をひとつもつもの、というように順を追って探すとよい。合計で4つを探すこと。
(解答例)
9.34
(ヒント)
不飽和度の考え方を思い出すこと。分子式の中の酸素は不飽和度に影響を与えない。すなわち、水素を水酸基に置き換えるとき、水素数を変化させない。つまり、炭素数5のアルカン C
5H
12 についてすべての構造異性体を書き、そのそれぞれについて任意の一箇所の水素を水酸基に置き換えてやる方法で、目的のアルコールをすべて書くことができる。アルコールの計8つの構造異性体のうち、キラルなものは3つある。
(解答例)
9.35
(ヒント)
まず、アルカン C
6H
14 の構造異性体(5つある)をすべて書き、それぞれについて、任意の一箇所の水素を臭素に置き換えることを考える。これにより、臭化アルキル C
6H
13Br のすべての構造異性体(17種類)を書くことができるので、このうちよりキラルであるもの(9つ)を探せばよい。
特に、探すべき数が多い場合は、ひとつずつ思いついたものを羅列しても、つい同じものがでてきてしまったりして、重複をチェックするのに時間がかかる。このような場合には、遠回りのように見えても、系統的に考えて、しらみつぶしにすべての可能性を考えるほうが早い。
(解答例)
9.36
(ヒント)
(a) 飽和であると考えると、1種類の構造が考えられるが、更に多重結合を持つ可能性も考えると複数の答えがあり得る。
(b) C
5H
10O
2 で表されるこの分子は、カルボン酸であるから、これを示性式で表すと、R-CO
2H となる。従って、これに対応する R-H は、C
4H
10 であることが判る。つまり、炭素数4のアルカンの構造異性体をすべて(2つある)書き、これらのうちの任意の位置の水素をカルボキシ基 -CO
2H で置き換えて生じる化合物について、キラル中心を持つかどうかを判断すればよい。この分子式に該当する4種類のカルボン酸のうち、キラルなものは1つである。
(c) これは条件が広いので、いくつでも可能性がある。考えられる置換基としてハロゲン(F,Br,Cl,I)やアミノ基、水酸基などを考える場合、最低炭素数が2の物を書くことができる。炭素数3や4の場合も例を考えてみるとよい。
(d) C
3H
5BrO で表されるこの分子は、アルデヒドであるから、これを示性式で表すと、R-CHO となる。従って、これに対応する R-H は、( -CHO をひいて、-H を足すので)C
2H
5Br であることが判る。このハロゲン化アルキルは構造異性体を持たないから、その2種類の水素のうち、いずれかをホルミル基 -CHO で置き換えたときに、キラル中心を持つかどうかを確認してやればよい。この条件のうち、一方のアルデヒドのみがキラルである。
(解答例)
9.37
(ヒント)
立体的に考えたときに、対称な面を持つものはキラルではない。与えられた5種のうち、2つがキラルである。
(解答例)
9.38
(ヒント)
第1級、第2級の炭素は、(それぞれ3つ、2つの水素を持つから、; 重水素D等を炭素上に持たない限り)はじめからキラル中心ではありえない。また、3配位の窒素や2配位の酸素もキラル中心にはならない。従って、第3級、第4級炭素に注目して探せばよい。
この問題では該当しないが、4級のアンモニウム塩(4配位の窒素)は、キラル中心となりえる。
(解答例)
9.39
(ヒント)
(a),(b) メソ化合物であるから、キラル中心が2つあり、それぞれの持つ置換基のセットは同じでないといけない。これら2つのキラル中心とその周囲の置換基が鏡像の関係になるように配置されているものである。
(c) (a),(b) で書いた2つのキラル中心の立体化学を確認するとわかるとおり、メソ体のキラル中心は (R),(S) のペアとなっている(または (S), (R) である)。このことからも判るように、(a),(b) の条件に合致するように書いたものは、いずれも (c) の条件を必ず満たす。ただし、(c) の条件を満たしていても、2つのキラル中心が同じ置換基のセットを持っているとは限らないから、逆は言えない。すなわち、(c)の条件は満たすがメソ体では無い化合物も存在できる。
(解答例)
9.40
(ヒント)
(2R,3R)--2,3-ジクロロペンタンと書くのが分子式としては正しい。これは、はじめの
(2R,3R)-の部分は、あくまでも該当する番号の炭素の立体化学を与えており、次の-2,3-の部分が塩素置換基の位置を表しているものであるからである。
まず、2つのキラル中心がある場合、メソ体でないかどうかを疑うこと。2つのキラル中心が持っている置換基のセットが異なる場合には、メソ体にはなり得ない。そのような場合には、2
2 = 4 通りの立体異性体が生じることになるが、これらのうち、鏡像異性体(エナンチオマー)であるものは、対応する炭素番号のキラル中心の立体化学がすべて逆になったものである。エナンチオマーの関係に無いものは、ジアステレオマーとなる。教科書 9.6 節を参照のこと。
(解答例)
(9.41-9.50 は、現在準備中です。)
9.41
(ヒント)
本質的に、問い 9.40 と同じであるから、9.40 のヒントをおよび教科書 9.6 節を参照のこと。
(解答例)
9.42
(ヒント)
本質的に、問い 9.40 と同じであるから、9.40 のヒントをおよび教科書 9.6 節を参照のこと。
(解答例)
9.43
(ヒント)
頭の中で立体を動かして、優先順位の一番低いものを紙面奥向きになるように配置しなおす。その上で、教科書298ページの図9.9 の中央のように図を書き直してみること。右回りか左回りかが一目瞭然となる。
(解答例)
9.44
(ヒント)
アルケンのE, Z 配置を決めたときと同じである。問題 6.41 のヒントも併せて参照すること。
(解答例)
9.45
(ヒント)
まず、キラル中心を探す。これは、4配位の原子で、4つの置換基(原子団)がすべて異なっているものである。この問いでは、くさび型の結合で置換基の空間配置を示している炭素ががキラル中心である。くさび型の結合は、塗りつぶされたものが紙面より手前に、破線のものが紙面より奥側に向いていることを考慮し、空間配置を把握すること。また、それぞれの置換基(原子団)に、Cahn−Ingold-Prelog 則に従って優先順位をつける。最後に、立体的に一番優先度の低いものを紙面奥側に向くように空間内を回転させてやり、R, S を判断すること。
(解答例)
9.46
(ヒント)
ここに示された分子は、いずれも2つずつキラル中心を持っている。特に (c) では、分子内に対称面を持っているため、メソ体であるが、それぞれのキラル中心に対して R, S を決定することができることに変わりはない。
(解答例)
9.47
(ヒント)
ビオチンは3つのキラル中心を持つ。プロスタグランジンE
1は4つのキラル中心を持つ。見落とさないこと。
(解答例)
9.48
(ヒント)
先ずは、立体を無視してよいから分子の構造式を書いてみること。その上でキラル中心炭素がどこであるかを見つけ、炭素上の4つの置換基(原子団)について、優先順位をつける。立体を仮に決めて書いた構造について、R, S の帰属をしてみて、目的のものと逆である場合には、2つの置換基の位置を入れ替えるか、または2つの置換基の手前と奥側を入れ替えるなどして、逆の立体にする。
(解答例)
9.49
(ヒント)
システイン(2-アミノ-3-メルカプトプロパン酸)のキラル中心の炭素は、2位の炭素である。くさび型の価標等を用いて立体を2種類書くこと。
(解答例)
9.50
(ヒント)
頭の中で立体を思いうかべて、空間内を回転させて重ね合わせることができるかどうかを確認してもよいが、このような問題の場合には、
頭の中で立体を思いうかべたりしなくても機械的に判断することが可能である。
1組、2つの置換基の位置を入れ替えると、R と S は逆になることを利用する。左に書かれた構造のうち、特定の2つの置換基の位置を入れ替える操作を、何回行うと右と同じ構造になるかを確かめてみればよい。もし、互いに立体化学が同じであれば、必ず偶数回の置換で重ねることができるようになるし、もし、互いに逆の立体化学を持つものであれば、必ず奇数回の置換で重ねることができるようになる。
または別法として、すべての分子構造についてキラル中心の立体(R, S)を判別してもよい。
(解答例)
(9.51-9.60 は、現在準備中です。)
9.51
(ヒント)
(a) の分子は、キラル中心を2つ持つ。(b) の分子はキラル中心を2つもつ。
(解答例)
9.52
(ヒント)
(a) 2、3位の炭素の立体化学(R, S)が指定されているから、まず、立体化学を無視して構造を書いてみる。その後、自分で書いた構造の立体化学を調べ、逆の場合には立体を反転させる。
(b) メソ体の2つのキラル中心の立体化学は S と R のペアとなる。キラル中心の立体化学に注目して書いてもよいが、キラル中心を結ぶ線分を垂直に二等分する鏡面を考え、これに対して対称になるように立体を書くことでも目的を達することができる。
(解答例)
9.53
(ヒント)
まず、それぞれの分子の中の同じ置換基(原子団)のセットをもつ2つのキラル中心炭素を探すこと。これらのキラル中心を結ぶ線分を垂直に二等分する面が対称面である。この面に対して対称になるように2つのキラル中心上の立体を書く。
(解答例)
9.54
9.55
(ヒント)
ニューマン投影式では、中央の円の位置に手前と向こう側の2つの炭素が重ねて示されているが、それぞれ、この炭素のうちのいずれかがキラル中心であることに注意する。炭素上にすべて異なる4つの置換基がついている方の炭素について考える。
(解答例)
9.56
(ヒント)
キシロースには、3つのキラル中心炭素がある。
(解答例)
9.57
(ヒント)
(a) くさび型の価標を書き込んである炭素は4つあるが、このうちの1つは同じ置換基(水素原子)が2つ結合しているからキラル中心ではない。
(b) 一般に、n個のキラル中心がある場合、「最大で」2
n 個の立体異性体が存在する。分子内に特に対称面も存在しないため、メソ体などにはならないから、リボースの立体異性体の数は、この数となる。
(c) それぞれのキラル中心の立体の R, S がすべて逆転したもの(ただ1種類)のみが、鏡像異性体(エナンチオマー)である。
(b) (b) に挙げた数より、自分自身、鏡像異性体の計2つを除いた数のジアステレオマーが存在する。それぞれのキラル中心の立体を、ひとつ逆転したもの、2つ逆転したもの、…として数えあげ、すべて逆転したもの(すなわちエナンチオマー)以外をすべて挙げる。
(解答例)
9.58
(ヒント)
キラル中心は3箇所ある。キラル中心を持つがキラルでは無い例には、どのような場合があっただろうか。
(解答例)
9.59
(ヒント)
四酸化オスミウムによる酸化反応は、環状エステル中間体を経由するから、出発物質の二重結合の位置に、シンの立体で、隣接炭素上に2つの水酸基を導入する。
(解答例)
9.60
(ヒント)
問い 9.59 とペアで考えること。
(解答例)
(9.61-9.70 は、現在準備中です。)
9.61
(ヒント)
ある炭素上の置換基が4種類とも異なる場合は、キラル中心である。キラル中心を2つ以上持つ場合、鏡面対称である場合にはメソ体になり、キラル中心を持っていても分子はキラルではないことになる。
(解答例)
9.62
(ヒント)
問い 9.61 とペアで考えること。
(解答例)
9.63
(ヒント)
水素がプロキラルであるかどうかについては、教科書 9.17 節を参照すること。注目している水素を、重水素
2D など、他の置換基(原子団)より優先順位は低いが、残されたほうの水素よりは優先順位が高いものに置き換えたときの立体化学で判断する。
(解答例)
9.64
(ヒント)
カルボニル化合物のプロキラル面については、教科書 9.17 節を参照すること。ある面から見たときの3つの置換基(原子団)の優先順位に従ったときの回転方向から判断する。あるいは、最も優先順位の低い仮想的な置換基(原子団)を、面の逆方向においたときの立体化学から判断すると言ってもよい。
(解答例)
9.65
(ヒント)
(a) Br
2 により生じたブロモニウムイオン中間体(3員環構造)に、水分子が求核攻撃して、ブロモヒドリンを与える反応であるから、アンチの立体化学で進行する。
(b) Br
2 による臭素化は、ブロモニウム中間体(3員環構造)を経由して起きるから、アンチの立体選択性で進行する。
(c) 四酸化オスミウムによる酸化は、環状エステル中間体を経由して、シンの立体化学で隣接炭素上に2つの水酸基を与える。
(解答例)
9.66
(ヒント)
それぞれ、カルボキシ基の結合する炭素がキラル中心になるかどうか、キラル中心になる場合はメソ体であるか否かを判断する。キラル中心については、それぞれ R, S の立体配置を決めるとよい。(2つのキラル中心があり、それぞれ同じ置換基のセットを持っている化合物であるものが、メソ体であるかどうかは、この R, S の組み合わせからも判断できるからである。)
(解答例)
9.67
(ヒント)
アルケン、アルキンの反応性については、6章から8章を復習すること。
光学活性である → 最低1つはキラル中心を持つ。
パラジウム触媒で水素を2モル吸収する → 二重結合が2つ、または三重結合が1つある。
オゾン分解 → 多重結合の位置が酸化開裂される。二重結合はケトンやアルデヒドを、三重結合はカルボン酸などを与える。
(解答例)
9.68
(ヒント)
不飽和でありながら、パラジウム触媒による接触水素添加が生じない化合物の代表はベンゼンなどの芳香族化合物である。(ケトン、アルデヒドの炭素=酸素二重結合も還元されないが、今回の問題では酸素原子を1つのみ含み、アルコールと指定されているので、多重結合はすべて炭素骨格中にある。)
アルケンBの二重結合は、希硫酸の酸触媒によるアルコールの脱水から生じるものである。教科書 7.1節を参照のこと。
アルケンのオゾン分解については、教科書 7.8 節を参照すること。二重結合の位置でケトンまたはアルデヒドを与える。
(解答例)
9.69
(ヒント)
炭素=炭素二重結合についてのプロキラル面も、カルボニル化合物のプロキラル面と同じように考える。問題 9.25 を参照すること。
(解答例)
9.70
(ヒント)
プロキラル中心炭素に結合している2つのアーム、すなわち -CH
2CO
2- について、左右(青と赤)のどちらがプロ-S で、どちらがプロ-R であるのかを決めることが求められている問いである。題意より、プロ-Rのアームより、カルボニル基のα位の水素がプロキラル中心炭素上の水酸基とともに脱離してアルケンを与える反応である。
(解答例)
(9.71-9.80 は、現在準備中です。)
9.71
(ヒント)
出発物と生成物の構造を比較して、どのように反応が進行しているのかを確認する。この反応は、カルボニル基と共役した二重結合に対する水の求核攻撃により開始される反応である。反応の中心となる炭素が確認できれば、出発物の構造よりプロキラル面を決めることが可能となる。生成物の立体化学を考慮して、どちらの面より反応が生じているのかを答えよ。
(解答例)
(発展)
この反応は、孤立した二重結合に酸触媒で水が付加するときとは異なる機構で進行するため、反応の位置選択性、立体選択性ともに異なっている。
孤立した二重結合に対する酸触媒による水の付加では、はじめにカルボカチオン中間体を生じるため、その安定性が位置選択性を決定する(マルコフニコフ則)。また、カルボカチオン中間体は中心炭素が sp
2 混成で、平面3配位であるから面に対する攻撃は、はじめに水素イオンが付加した位置と関係なく起きてしまうため立体選択性も無いのが一般的である。
この問題の反応では、カルボニル基と共役した二重結合に対する求核付加(マイケル付加)となっている。このような反応は、カルボニルに隣接した二重結合が、カルボニルの双極子により分極し、β位に正の部分電荷を誘導して生じるために起きる。この問いの反応では、水が求核種としてはたらく。一般的なマイケル付加反応の説明のように、一旦、カルボニル基まで電子が移動してエノラートアニオンを生じ、それが再プロトン化する機構で進行するならば、水の付加反応において立体選択性が生じないことになるが、求核攻撃と水素イオンの付加が協奏的におきていれば、立体選択性の説明ができることになる。このような反応は、E2反応の逆反応として理解できる。
しかしながら、これだけでは、面選択性について説明することはできない。すなわち、2位と3位の炭素の立体が、(2R,3S) の組み合わせのほか、(2S,3R)の組み合わせのものも生じてしまう可能性がある。
実際には、この反応は、問い 9.70 の文中にも示されているように、生体内でおきている一連の反応(クエン酸回路)の一段階であり、反応基質が酵素などと立体特異的に結合することにより、一方の面からの攻撃のみが優先するような環境をつくりだしているので、位置選択性、立体選択性ともに溶液中とは異なる可能性がある。
9.72
(ヒント)
2通りの考え方で整理することが可能である。
1)キラル中心を探し、キラル中心を持つ場合はメソ体であるかどうかを判断する。
2)テトラへドラン骨格を4本の結合軸をもつ1つの粒子とみなし、空間配置を考える。
テトラヘドラン誘導体の3次元模型
(解答例)
1)4種の異なる置換基の結合している付け根の部分の炭素原子は、それぞれすべて(異なる置換基を持つのだから)異なる原子団として捉えることができる。そうすると、これら4つの炭素原子は、いずれもキラル中心であるとみなすことができる。キラル中心を持つ分子は、分子内に鏡映面をもたない限りキラルとなる。
2)テトラヘドラン骨格を、4本の結合軸をもつ1つの粒子としてみなした場合、炭素原子と同じ空間的な対称性を持っている。4つの異なる置換基(原子団)をもつメタン誘導体は、キラルだと考えてよい。
以上のように、問いであたえられたような分子は、キラルである。ただし、W, X, Y, Z の置換基のうち1つがテトラヘドラン骨格をもち、分子がメソ体となるような場合もあり得る。その場合に限り、キラルではない。
9.73
9.74
9.75
(ヒント)
酸触媒によってカルボン酸がアルコールと反応してエステルを生じる反応の機構を書いてみること。各段階において、どの位置でどのような反応がおきているのかをチェックしてみること。
(解答例)
9.76
(ヒント)
乳酸の立体構造については、教科書 3.8ページに鏡像異性体の例として載っているので参照すること。
(解答例)
9.77
(ヒント)
問い 9.76 についても参照のこと。なお、エステルの加水分解は、酸触媒での反応と塩基性水溶液を用いる反応とがある。それぞれ反応機構を書き、どこでどのような反応が起きているのかを確認すること。
(解答例)
9.78
(ヒント)
(a)、(b) はともに、分子の構造式を書いてみること。不斉炭素を探し、その位置の立体配置が問題に指示されているかどうか確認し、逆の場合は置換基を一組入れ替えて立体配置を反転させる。
(c) ラジカル反応の反応機構を書いてみること。それぞれの反応段階が、どの位置で、どのような反応が起きているのかを確認する。必要であれば、中間体の立体構造を確認すること。
(解答例)
9.79
(ヒント)
メソ体であるから、鏡映面をもつ。この対称性を手がかりにして考えるとよい。炭素数が5つであることから、この鏡面上に1つまたは3つの炭素がある。面の左右において不斉炭素の数が異なることはありえないから(その場合は、面の左右で鏡像関係にならないから、メソ体ではなくなる)、面上にある炭素1つが不斉である必要がある。
(キラル中心であるということはすべての置換基が異なることであるから、この中央の不斉炭素より面の左右にでている2つの置換基は「異なる」必要がある。原子の数の組み合わせが同じであっても、不斉で、かつ鏡に映り合う形、すなわち R の配置を持つものと S の配置を持つものであれば、「異なる」置換基として認識されることに注意する。)
(解答例)
9.80
(ヒント)
キラル中心原子に由来する立体異性体には、エナンチオマー(鏡像異性体)、ジアステレオマー(互いに鏡像ではない立体異性体)、メソ体がある。
まず構造式を書いてみて、キラル中心となる炭素を探すこと。キラル中心のそれぞれの立体配置の組み合わせの中から、メソ体になるものは除外する。
2,4-dibromo-3-chloropentane の場合は、3位の炭素がキラル中心である場合と、そうではない場合とがある。
「光学活性であるか
(解答例)
(発展)
※ 3位の炭素が不斉になる条件は、左右の 1-bromoethyl 基(もとの化合物の番号で、1、2位および4、5位)の1位(もとの化合物の番号では、2位および4位)の立体配置が S と R の組み合わせでなければならない。そのようなとき、これらの置換基同士が鏡面対称であるということであるから、メソ体である。従って、光学不活性である。しかしながら、3位の炭素は不斉になっているから、その周囲の立体配置にもとづいて2種の立体異性体をもつ。これらの立体異性体はすでに、鏡に映しても重ね合わせることができず、ジアステレオマーとなる。図を描いて確認すること。
(9.81-9.86 は、現在準備中です。)
9.81
(ヒント)
立体異性体を考えるときは、通常の文脈では配座異性体を互いに区別しない。(特に低温にするなどの条件により、配座異性体を区別できると明記してある場合は別である。)
(解答例)
9.82
(ヒント)
問い 9.81 を参照すること。
(解答例)
9.83
(ヒント)
問い 9.81 を参照すること。
(解答例)
いす形配座であっても、鏡像をいちどフリップさせることより、空間内の回転で重ね合わせることが可能である。
9.84
(ヒント)
(S)-2-ブロモブタンを書いてみること。求核置換反応(11章)では、求核種(ここでは、
-SH)正の部分電荷を持つ炭素に対し、脱離基(ここでは Br)の逆側から攻撃し、5配位の中間体を経由して残り脱離基が(Br
-として)抜けることにより、炭素上の立体配置が反転する。これをワルデン反転と呼ぶ。この反応での立体の変化の様子は、教科書、問いに併せて示している反応式を参照すること。(反応の内容の詳細は教科書の 11.2 節等を参照すること)
(解答例)
9.85
(ヒント)
出発物 propanal と、生成物 2-butanol の構造を書き、酸素の位置が変化していないものとして考え、どの結合が新たにでき、どの結合が切れているのかを見出すこと。
Grignard 試薬 RMgBr は、炭素−金属(マグネシウム)結合を持っており、R
-−(MgBr)
+のように分極しており、カルバニオン R
- が反応するものとして理解することができる。従って、このR
- が、分子内で正電荷が多く分布する箇所に反応する。カルボニル基は、酸素と炭素の電気陰性度の違いにより分極しているので、アルデヒドに対する Grignard試薬の反応はカルボニル炭素への求核攻撃で開始される。
とはいえ、これらの反応の本質はこの問題を答える上では必要ではない。笑。
(a) 生成物の構造式を書き、キラル中心が存在するかどうかを探す。
(b) 反応で生じる「ブタノールの立体異性体」という表現は、(この反応では生じない構造異性体:1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノールは排除して)2-ブタノールについてのみ考えればよい。カルボニル炭素に対する攻撃は、溶液系において2つのプロキラル面を区別できないから、同じ確率で起きると考えてよい。
(解答例)
9.86
(ヒント)
Grignard 試薬の反応については、上の問いのヒントを参照すること。Grignard 試薬がカルボニル基に反応するとき、フェニル基の付け根(2位)の炭素には関与がないから、この部分の立体は反応によって変化しないことに注意する。
一方で、カルボニル基へのGrignard 試薬の求核付加により生じる新しい不斉炭素の立体選択性については、上の問いと同じ状況である。
(解答例)