(解答例)
(a) 5B : (1s)2(2s)2(2p)1
(b) 15P : (1s)2(2s)2(2p)6(3s)2(3p)3
(c) 8O : (1s)2(2s)2(2p)4
(d) 17Cl : (1s)2(2s)2(2p)6(3s)2(3p)5
(解答例)
(a) 19K : (1s)2(2s)2(2p)6(3s)2(3p)6(4s)1 従って、1個。
(b) 13Al : (1s)2(2s)2(2p)6(3s)2(3p)1 従って、3個。
(c) 36Kr : (1s)2(2s)2(2p)6(3s)2(3p)6(4s)2(3p)10(4p)6 従って、8個。
(解答例)
2本の実線は、紙面(モニター面?)上にある。およそ、110〜120度くらいの結合角で描くのが良い。次の左右、いずれも良い例。
次は、悪い例。2本の実線が一直線上にあると、正四面体構造として読みとれない。
(解答例)
(解答例)
(a) 32Ge は、6C と同じ14族で、最外殻電子数は4個。従って、4本の共有結合を持つ。17Cl は、17族のハロゲンで、最外殻電子数は7個。従って、3組の孤立電子対をもち、1本の共有結合を持つ。
GeCl4
(b) 13Al は、13族で、最外殻電子数は3個。従って、3本の共有結合を持つことができるが、その場合でも閉殻とならない。
AlH3
(c) 6C は14族で、最外殻電子数は4個。従って、4本の共有結合を持つ。
CH2Cl2
(d) 14Si は、6C と同じ14族で、最外殻電子数は4個。従って、4本の共有結合を持つ。9F は、17族のハロゲンで、最外殻電子数は7個。従って、3組の孤立電子対をもち、1本の共有結合を持つ。
SiF4
(e) 7N は、15族で、最外殻電子数は5個。従って、1組の孤立電子対をもち、3本の共有結合を持つ。
CH3NH2
(解答例)
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(解答例)
2つの炭素同士が1つずつ電子を出し合って、炭素−炭素結合をつくったとすると、結合に使える残りの電子は6個しかないから、水素との間であと6本までしか結合を作れない。従って、C2H7 は不可能である。
(解答例)
3つ炭素はすべて、sp3 なので、C−C−C の結合角は、およそ 109 度であるので、右の構造式で描いたような形である。また、すべての H−C−H の結合角も、同じようにおよそ 109 度である。
(解答例)
6つ炭素はすべて、sp3 なので、C−C−C の結合角は、およそ 109 度である。また、すべての H−C−H の結合角も、同じようにおよそ 109 度である。
(解答例)
線結合構造で描けば、次のようになる。
二重結合に関与した2つの炭素は、単結合が2本と二重結合1本を持つから、sp2 混成である。従って、隣接したこれら2つの炭素は、同一平面内にそれぞれ3本の結合が出ており、その結合角は 120 度である。また、メチル基の炭素は、4本の単結合を持つからsp3 混成である。この炭素を中心とした結合角は、すべておよそ 109 度である。
(解答例)
線結合構造で描けば、次のようになる。
4つの炭素は、いずれも、単結合が2本と二重結合1本を持つから、sp2 混成である。これら2つの炭素は、同一平面内にそれぞれ3本の結合が出ており、その結合角は 120 度である。
(解答例)
(解答例)
ピンクで示した炭素は、すべて、単結合2本と二重結合1本を持っている。従って、sp2 混成である。水色で示した炭素は、4本の単結合を持つから、sp3 混成である。アスピリン分子中の4つの酸素は、いずれも2対ずつの孤立電子対を持つ。
(解答例)
線結合構造で描けば、次のようになる。
三重結合に関与した2つの炭素は、単結合が1本と三重結合1本を持つから、sp 混成である。従って、3つの炭素と、sp 混成炭素から結合している末端の水素は、同一直線上にある。また、メチル基の炭素は、4本の単結合を持つからsp3 混成である。この炭素を中心とした結合角は、すべておよそ 109 度である。
(解答例)
ヒントでも述べたように、CH2 と NH の間は二重結合であるから、4つの電子が関与している。うち、2つは σ 結合として、残りの2つは π 結合として炭素と窒素により共有されている。
炭素原子(2本の単結合と1本の二重結合をもつ)、窒素原子(1本の単結合と1本の二重結合、1対の孤立電子対をもつ)は、ともに sp2 混成である。
(解答例)
図中、灰色は炭素、赤は酸素、青を窒素、白は水素である。また、孤立電子対は桃色の球として表現されている。
(a)
methanol の酸素は、2本の共有結合と2対の孤立電子対を持っており、sp3 混成である。従って、メチル基の炭素と同様に、正四面体の対称性をもつような形をしている。
(b)
trimethylamine の窒素は、3本の共有結合と1対の孤立電子対を持っており、sp3 混成である。従って、メチル基の炭素と同様に、正四面体の対称性をもつような形をしている。
(c)
窒素と同族のリンは、最外殻に5つの電子を持つ。従って、PH3 の化合物中で、リンは3本の単結合の他に1対の孤立電子対をもち、sp3 混成である。従って、メチル基の炭素と同様に、正四面体の対称性をもつような形をしている。
(解答例)
(ここでは、骨格構造式で示す。骨格構造式の書き方やルールについてはマクマリー有機化学第6版、上の59頁等を参照のこと。)
2,2-dimethylpropane,
2-propylpiperidine,
alanine (2-aminopropanoic acid)
(解答例)
(ここでは、構造式は骨格構造式で示す。)
多重結合は、分子内に3つあるカルボニル基(C=O)に含まれ、また、孤立電子対は全ての酸素上に(それぞれにつき2対ずつ)存在する。
シグマ結合と孤立電子対の数の和 | 混成状態 | 例(下線部の炭素) |
---|---|---|
4 | sp3 | CH4 |
3 | sp2 | CH2=CH2 |
2 | sp | CH≡C-CH3, H2C=C=CH2 |
(解答例)
(ここでは、構造式は省略する。)
炭素原子の混成状態:
ベンゼン環を構成する炭素 sp2
アミド基のカルボニル炭素 sp2
末端のメチル基の炭素 sp3
孤立電子対を持っているのは、すべての窒素および酸素原子。
(解答例)
分子内にメチルエステルの構造が一箇所あるが、その末端のメチル基(下図中、赤で囲んだ部分)の水素がひとつ、炭素原子の陰になって見えにくいため、おとさないように注意すること。
多重結合は、上の構造式を参照すること。(ベンゼン環内に3箇所、アミド基、エステル基、カルボン酸基の中のカルボニル基(C=O)が3箇所。
(解答例)
(a) 2 (b) 7 (c) 4 (d) 2
(解答例)
特に硫黄のような場合には、p 軌道への電子の入れ方(Hund 則)に注意すること。また、臭素のような場合、3d 軌道が 4s 軌道よりもエネルギーが上であることに注意すること。
(解答例)
(a) CH3OH (b) AlCl3 (c) CF2Cl2 (d) NI3
(解答例)
アセトニトリルは図上のような結合様式をもつ。これをルイス(点電子)構造で表すと、図下のようになる。窒素電子は炭素との間の三重結合の他、孤立電子対を持つ。
窒素原子が最外殻にもつ電子の数:8
(ただし、価電子は5。炭素との共有結合(シグマおよびパイ)により3つの電子をもらい、八偶子(オクテット)を満たしている。)
結合性の電子:6、非結合性の電子:2(孤立電子対)
(解答例)
メチル炭素の混成状態 sp3(4本のシグマ結合を持つので)
シアノ基の炭素の混成状態 sp(2本のシグマ結合を持つので)
窒素の混成状態 sp(1本のシグマ結合と孤立電子対を持つので)
(解答例)
図左の構造式では、骨格構造式の手法にならい、炭素は省略して記した。ルイス構造において、塩素の持つ孤立電子対を落とさないこと。
(解答例)
窒素(価電子5個):3本の結合と1対の孤立電子対
酸素(価電子6個):2本の結合と2対の孤立電子対
硫黄(価電子6個):2本の結合と2対の孤立電子対
塩素(価電子7個):1本の結合と3対の孤立電子対
(図は省略)
(解答例)
(a) C9H8O4 (b) C6H8O6 (c) C10H14N2 (d) C6H12O6
(解答例)
ここでは、骨格構造式で表すものとする。
(a) (CH3-CH2-CH3)
propane
(b) (CH3-NH2)
methylamine (or methanamine)
(c) (CH3-O-CH3 と CH3-CH2-OH)
dimethyl ether,
ethanol
(d) (CH3-CH2-CH2Br と CH3-CHBr-CH3)
1-bromopropane,
2-bromopropane
(e) (CH3-CHO と CH2=CH-OH と CH2(*)-CH2-O-(*)(←(*) 同士で結合した三員環))
ethanal,
vinyl alcohol,
oxirane (or ethylene oxide, or 1,2-epoxyethane)
(f) (CH3-CH2-CH2-NH2 と CH3-CH2(NH2)-CH3 と CH3-CH2-NH-CH3 と (CH3)3N
propylamine (or propanamine),
isopropylamine
ethylmethylamine
trimethylamine
シグマ結合と孤立電子対の数の和 | 混成状態 | 例(下線部の炭素) |
---|---|---|
4 | sp3 | CH4 |
3 | sp2 | CH2=CH2 |
2 | sp | CH≡C-CH3, H2C=C=CH2 |
(解答例)
(a) CH3-CH2-CH3 の3つの炭素とも、sp3 混成である。
(b) (CH3)2C=CH2 の下線炭素は、sp2 混成、メチル基の炭素は sp3 混成である。
(c) CH2=CH-C≡CH の、三重結合に関与した下線炭素は sp 混成、それ以外の2つの炭素は sp2 混成である。
(d) CH3-C(=O)-OH の、メチル基炭素は sp3 混成、下線のカルボニル炭素は sp2 混成である。また、酸素についても見ておくと、下線のカルボニル酸素は sp2 混成、水酸基酸素は sp3 混成である。
(酸素原子については、それぞれ2対の孤立電子対を持つため、シグマ結合の数にこれを足してから、上記表に従い判断する。)
(解答例)
すべての炭素、および水素は同一平面内にあり、炭素は正6角形の頂点に位置する。各炭素は、sp2 混成であり、結合角はすべて120度である。
(解答例)
(a) 酸素は、2本の単結合と2対の孤立電子対を持つので、sp3 混成である。結合角は約109度。
(b) 窒素は、3本の単結合と1対の孤立電子対を持つので、sp3 混成である。結合角は約109度。
(c) 上記と同様に、sp3 混成であるから、結合角は約109度。
(d) この炭素は、単結合2本と二重結合1本を持つ。シグマ結合数は3、孤立電子対は持たないから、sp2 混成である。結合角は約120度。
(解答例)
一例のみを示す。
(a)
(b)
(c)
(解答例)
(a) 炭素は価電子を4つ持つから、4つの水素との間で化合物 CH4 をつくることはできるが、CH5 はつくらない。
(b) 分子内に、環構造も二重結合もどちらも持たない場合、2つの炭素、1つの窒素からは、たとえば aminoethane CH3CH2NH2 の分子式として、C2H7N となる。ここから2つの水素を除いて二重結合や環構造を導入すると、C2H5N となってしまい、C2H6N の分子をつくることはできない。
(c) 臭素は7つの荷電子をもち、1本の共有結合をもつから、結合の様式は水素と同じであるので、C3H5Br2 の代わりに C3H7 について考えてもよい。
3つの炭素からは、たとえば propane CH3CH2CH3 の分子式として、C3H8 となる。ここから2つの水素を除いて二重結合や環構造を導入すると、C3H6 となってしまい、C3H7 の分子をつくることはできない。従って、C3H5Br2 の分子もつくることができない。
(解答例)
ethanol の酸素に直結した炭素(次式下線: CH3−CH2−OH )上には、2つの水素、1つのメチル基( −CH3 )、1つの水酸基( −OH )をもつ。下図中で、これら4つの置換基をどの位置に置いても構わない。
(解答例)
次の中から2つが描かれていればよい。(これら8種類の描き方は、下記(発展)を参照のこと)
オキサロ酢酸の系統名は、2-オキソブタン二酸 ( 2-oxobutanedioic acid ) で、その示性式は HOOC-CH2-CO-COOH である。上図では、中段左より2つめ。
(解答例)
(a)
(b)
(c)
(d)
(解答例)
図で点線で示した、酸素−カリウムの結合は、2つの元素の電気陰性度に大きな差があるためイオン結合性となる。
(解答例)
次に骨格構造式で表された図(省略されている水素を補うことを忘れないこと)において、ピンクで表した炭素、窒素、酸素は、それぞれ「σ 結合の数(単結合の数+多重結合の数)+孤立電子対の数」が3であるから、sp2 混成である。水色で表した炭素、窒素、酸素は、それぞれ「σ 結合の数+孤立電子対の数」が4であるから、sp3 混成である。
(a)
(b)
なお、ヒントの(間違いを確認せよ)は、CH2=C=CH2 のような分子では、中央の炭素は sp 混成であるから、二重結合に関与していても、必ずしも sp2 ではないことである。
(解答例)
次に骨格構造式で表された図(省略されている水素を補うことを忘れないこと)において、ピンクで表した原子は、それぞれ「σ 結合の数(単結合の数+多重結合の数)+孤立電子対の数」が3であるから、sp2 混成である。水色で表した原子は、それぞれ「σ 結合の数+孤立電子対の数」が4であるから、sp3 混成である。
(a)
従って、C−N−H の結合角は、中心の窒素が sp3 混成なので、約 109 度。
(b)
従って、C−N−C の結合角は、中心の窒素が sp2 混成なので、約 120 度。
(c)
従って、C−P−C の結合角は、中心のリンが sp3 混成なので、約 109 度。
(解答例)
cyclopentyne の骨格構造式を示した。ピンクで表した炭素は、それぞれ4本の σ 結合を持つから、sp3 混成である。これに対し、黄色で表した炭素は、2本の σ 結合と(三重結合中の)2本の π 結合を持つから、sp 混成である。
sp 混成炭素は 180 度の結合角を持つ状態が安定であるので、5員環の中に組みこまれた sp 混成炭素は、結合角の歪みを持つことになる。(正五角形として、内角は 108°である。)このため、cyclopentyne は安定に存在できない。
(解答例)
「エテンの 結合性 π 分子軌道は、二つの p 原子軌道が側面から 加法的な組み合わせで 重なった結果である。」
教科書 24 ページ、図 1.21 参照。
(解答例)
アレン CH2=C=CH2 では、中央の炭素は、2本の σ 結合と(2本の二重結合中の)2本の π 結合を持っているので、「 σ 結合の数+孤立電子対の数」は2で、sp 混成である。
末端の炭素は、3本の σ 結合と(二重結合中の) π 結合を持っているので、「 σ 結合の数+孤立電子対の数」は3で、sp2 混成である。
アレンの3つの炭素の軌道を下図に模式的に示した。
ピンクで示しているのは、左右の炭素の sp2 軌道と、中央炭素の sp 軌道の重なりによって生じる σ 結合である。中央炭素は、2つの p 軌道(青と黄)を持っており、これらは直交した方向にでている。末端の炭素は、それぞれ1つの p 軌道(青および、黄)を持っており、中央の炭素の p 軌道と横方向から重なるようにして π 結合を生じる。従って、2つの π 結合は、互いに直交した2つの面内に広がっている。ゆえに、2つの末端炭素から結合している4つ水素は、同一平面内にはない。
分子模型でアレンを組んでみた。こんなかんじ。
(解答例)
二酸化炭素 O=C=O では、中央の炭素は、2本の σ 結合と(2本の二重結合中の)2本の π 結合を持っているので、「 σ 結合の数+孤立電子対の数」は2で、sp 混成である。
末端の酸素は、(二重結合中の)1本の σ 結合と1本の π 結合、および2対の孤立電子対を持っているので、「 σ 結合の数+孤立電子対の数」は3で、sp2 混成である。
二酸化炭素の炭素および酸素の持つ軌道を下図に模式的に示した。1.43 で描いたアレンと同じ構造であることに注意せよ。
ピンクで示しているのは、左右の酸素の sp2 軌道と、中央炭素の sp 軌道の重なりによって生じる σ 結合である。中央炭素は、2つの p 軌道(青と黄)を持っており、これらは直交した方向にでている。末端の酸素は、それぞれ1つの p 軌道(青および、黄)を持っており、中央の炭素の p 軌道と横方向から重なるようにして π 結合を生じる。従って、2つの π 結合は、互いに直交した2つの面内に広がっている。ゆえに、2つの末端酸素の4対の孤立電子対は、同一平面内にはない。
(解答例)
caffeine の骨格構造式を示した。すべての酸素は孤立電子対を2対、すべての窒素は孤立電子対を1対もつ。また、ピンクで表した炭素は4本の σ 結合を、ピンクで表した窒素は3本の σ 結合と孤立電子対を、それぞれ持つから、sp3 混成である。これに対し、水色で表した炭素、酸素、窒素は、二重結合を持つからその中に π 結合を1つ持ち、 σ 結合と孤立電子対の数の和が3であるから、sp2 混成である。
問題の図中、矢印でしめされている原子(図中、赤フォントで示した)は、すべて sp2 混成である。
(解答例)
(a) 中性の炭素原子、6C は、電子配置(1s)2(2s)2(2p)2 で、4つの価電子をもつ。価電子を1つ失うと、原子は正のイオンとなるから、6C+ の価電子は3つである。
(b) 6C+ は、基底状態で(1s)2(2s)2(2p)1 の電子配置であるから、まず、3本の等価なシグマ結合をつくるために 2s 電子を 2p 軌道に昇位させると (1s)2(2s)1(2p)2 の電子配置となる。3つある 2p 軌道のうち、1つは空である。電子の入っている軌道 (2s)1(2p)2 だけで混成するので、sp2 混成となる。この炭素は、混成していない p 軌道を1つ持つが、この軌道に電子は入っておらず、空のままである。
(c) 従って、カルボカチオンは平面内に3本の結合が、結合角 120度で出ている。これは、3本の結合が空間内で互いになるべく離れた位置に来ようとして生じる構造である。
(解答例)
(a)(b) 中性の炭素原子、6C は、電子配置(1s)2(2s)2(2p)2 で、4つの価電子をもつ。新たに価電子を1つ得ると、原子は負のイオンとなるから、6C- の価電子は5つで、電子配置は (1s)2(2s)2(2p)3 となる。この電子配置は、3価の窒素 7N と同じであるから、カルボアニオン CH3- の構造は、アンモニア NH3 の構造と相同である。
(c) 3本の σ 結合と、孤立電子対1対を持つから、sp3 混成である。
(d) 3本の σ 結合と孤立電子対が空間内で互いに一番離れた配置となるから、正四面体の対称性をもつ。
(解答例)
1) 結合に関与しない2つの電子が、1つの軌道に入る場合:
白で示したのは p 軌道、水色で表したのは sp2 混成軌道である。
結合に関与しない2つの電子が1つの軌道の中に逆向きのスピンで対となって入って孤立電子対を形成する場合には、炭素の持つ「 σ 結合の数+孤立電子対の数」が3であるから、sp2 混成となる。そして、この孤立電子対と2本の C−H 結合が互いに反発しあい、120度の結合角となる。中心炭素は、3つの sp2 混成軌道と直交した方向を向いた空の p 軌道を一つ残しているが、空なので、他の軌道との間の反発はない。この分子の多重度は1(一重項)である。
2) 結合に関与しない2つの電子が、それぞれ異なる軌道に入る場合:
Hund の法則(2つ以上のエネルギーの等しい軌道に電子が入る場合、まず、すべての軌道に同じスピンの向きで電子が1つずつ入っていく)により、結合に関与しない2つの電子は同じスピンの向きを持つので、三重項、である。
左より sp 混成、sp2 混成、sp3 混成の炭素を用いて三重項カルベン CH2 を表そうとした場合。
ただし、白で示したのは p 軌道、水色で表したのは sp2 および sp3 混成軌道である。
不対電子とσ 結合の共有電子対との間にさほど大きな反発が無い場合には、空間内で互いに最も離れようとするのは2本の σ 結合だけで、「 σ 結合の数+孤立電子対の数」は2であって sp 混成を生じる(上図、左端)。このとき、カルベン CH2 は直線構造を持つ。この場合、結合に関与しない2つの電子は、2つの直交した p 軌道に入る。実際に、直線構造をした三重項カルベンが実験的に知られている。
さまざまな理由で分子の構造に制約が加えられたときなど、曲がった三重項カルベンも存在することが知られている。この場合には、上図中央のように sp2 混成軌道および p 軌道に不対電子が1つずつ入るか、または上図右端のように2つの sp3 混成軌道に不対電子が入るかのいずれかで考えることができる。ただし、これらを区別することができるような情報は、ここでは示されていない。
(解答例)
butane, 2-methylpropane
炭素の並び方が異なる、構造異性体である。
(解答例)
propene, cyclopropane
左は二重結合を持ち、右は環構造を持つ。
(解答例)
ethanol, dimethyl ether
左はアルコール、右はエーテルで、官能基異性体である。
(解答例)
1-butene, trans-2-butene, cis-2-butene, 2-methylpropene
左のものと中央2つとは、二重結合の位置が異なる位置異性体である。
中央2つは、二重結合についたアルキル基の配置が異なっており、立体異性体(幾何異性体)である。
右のものは、左のもの3つと炭素の並びが異なっており、構造異性体である。
(解答例)
電気陰性度の数値の大きい方が、より陰性な原子である。
(a) H
(b) Br
(c) Cl
(d) C
(解答例)
(a) H3Cδ+-Brδ− (b) H3Cδ+-Nδ−H2 (c) H3Cδ−-Liδ+ (d) H2Nδ−-Hδ+ (e) H3Cδ+-Oδ−-H (f) H3Cδ−-Mgδ+-Br (g) H3Cδ+-Fδ−
(解答例)
結合に関する極性が小さい方から大きくなる順に、
H3C-OH (1.0) < H3C-MgBr (1.3) < H3C-Li (1.5) 〜 H3C-F (1.5) < H3C-K (1.7)
(カッコ内数値は、図2.2 より読み取った電気陰性度の差の値)
(解答例)
C-O結合に関しては、CとOの電気陰性度からも予想される通り、Cδ+-Oδ− のように分極している。
さらにここに酸素上の孤立電子対による分極の寄与(テキスト p37、2段落目の図と解説を参照すること)が加わり、分子全体としては、C-O結合の軸よりも、やや孤立電子対側を向いた方向への分極を持つことになる。
(解答例)
O=C=O の構造を持つ二酸化炭素の炭素原子は、(2本のシグマ結合を持つので)sp混成である。したがって、(O)-C-(O) の結合角は180度であり、直線状の分子であることが判る。
C=O 結合は炭素原子と酸素原子の電気陰性度からも予想されるように、Cδ+=Oδ− のように強く分極しているが、分子内の2つの C=O 結合に起因する結合の分極は、互いに同じ大きさで全く正反対の向きであるため、互いに打ち消し合ってしまうことになる。(ベクトルの和をとるのと、同じように考える。)そのため、二酸化炭素は、分子全体としては双極子モーメントを持たない。
「分子の構造が左右対称だから」という表現では正しくない。左右対称だが、それぞれの結合に由来する双極子が打ち消されないような例として、たとえば水分子のような構造を考えてみること。
(解答例)
図は省略(下の1276ページを参照のこと)。
(b) 〜 (d) のそれぞれにおいては、双極子モーメントに対して一番大きな寄与をするのは、C-Cl 結合であると考えた場合も、同じ答えが得られる。
(解答例)
なぜ、硫黄−酸素間が二重結合ではなく単結合として硫黄と酸素上に形式電荷を置くのかについては、上のヒントの上半分で考えた通り。ジメチルスルホキシドの硫黄を炭素に置き換えたような化合物である、アセトン(CH3)2C=O については、炭素原子は炭素−酸素の二重結合を含めて4本の結合だけを持つから、形式電荷を用いて(CH3)2C(+)-O(−) のようにはしない。(この場合では、炭素上の原子価殻の電子数を数えると、6個となってしまい、オクテットを満たさない。)
形式電荷の位置と数については、表2.2を参考にすれば良い。硫黄は、酸素と同族の元素であるから、表2.2を適用する際には、酸素の項を用いる。(あるいは与えられた答えのように各原子について計算しても良い。)
(解答例)
(孤立電子対の表示は省略する。)
(a) H2C=N(+)=N(−)
(b) H3C-C≡N(+)-O(−)
(c) H3C-N(+)≡C(−)
(解答例)
「(P)=O」の酸素上には形式電荷は存在しない。2つの「(P)-O」の酸素上に、−1の形式電荷が存在する。
なお、問題の図に与えられた構造とは形式的に異なるが、図中の「(P)=O」結合を単結合に開き、この酸素上にも−1の形式電荷を与えたのち、リン(P)上に+1の形式電荷を与えれば、リン(P)上の結合の数が4本となり、オクテットを満たすことになる。(与えられた図のままでは、リン原子より5本の結合がのびており、リン原子の原子価殻に10個の電子が入っていることになってしまい、これまでの説明と整合性がとれないことになる。)
(解答例)
電子の動きは、曲がった矢印で描く。このとき、電子対の動きを表す矢印は通常の矢印を用い、電子1つの動きを表す矢印は片矢印(頭の部分の折り返しが片側だけのもの)を用いる約束がある。
(a)
(b)
(c)
(d)
(解答例)
HNO3(酸) + :NH3(塩基) → NO3−(共役塩基) + NH4+(共役酸)
酸がプロトン(H+)を放出して生じたイオンが共役塩基である。(放出した場所に)もう一度プロトンを受け取ることが可能であるから塩基の名が付く。
塩基がプロトン(H+)を受け取って生じたイオンが共役酸である。受け取ったプロトンを再度放出することが可能であるから酸の名が付く。
なお、硝酸イオンの構造については、2-10(a)の答えを参照すること。
Ka = | [ H+] | [ A−] |
[ HA ] |
(解答例)
より小さな pKa を持つピクリン酸のほうが強酸である。
(解答例)
より弱い塩基の共役酸である水の方が、酸として強い。
塩基がより弱い
↓ ↑
塩基は、プロトンを受け取りにくい
↓ ↑
共役酸は、プロトンを放出しやすい
↓ ↑
共役酸は、より強い
なお、ここで「アンモニアは塩基として働くから、アンモニアは水より塩基性が強いから」といった誤答も見られるが、これは間違いである。アンモニアや水の塩基性の強さから議論されるのは、その共役酸としての NH4+ や、H3O+ の酸としての強さだけである。(これに関連した平衡は以下の通り)
NH3 + H+ ←→ NH4+
H2O + H+ ←→ H3O+
× 「AH が酸としてより弱いということは、(AH が)塩基として強い」
○ 「AH が酸としてより弱いということは、その共役塩基(A− が)塩基として強い」
(解答例)
(a) HCN(pKa=9.31)は、CH3CO2H(pKa=4.75)より弱い酸である。従ってこの反応は進行しない。(右辺から左辺への反応は、より弱い酸が生じるので、進行する。)
(b) CH3CH2OH(pKa=16.00)は、HCN(pKa=9.31)より弱い酸である。従ってこの反応は進行しない。(右辺から左辺への反応は、より弱い酸が生じるので、進行する。)
(解答例)
酸としてくらべた場合、アセトンとアンモニアではアセトンの方が強酸である。したがってこの反応は進行し、強酸(アセトン)がプロトンを放出し、弱酸(アンモニア)の共役塩基である NH2− がプロトンを受け取り、より弱い酸であるアンモニア( NH3 )が遊離する。
(解答例)
10−9.31 = 4.9 × 10−10
指数・対数の関係がある場合の有効数字については、以下のように計算して確認すること。
pKa が 9.31 であると記述するのは、pKa が±0.01程度の範囲内の値を持つことを示している。従って、Ka の値は、およそ
10−9.30 = 5.012 × 10−10
10−9.31 = 4.898 × 10−10
10−9.32 = 4.786 × 10−10
の間の範囲にあることが判る。この確認より、指数が 0.01 変化するだけで結果は小数点以下1位が変化するので、小数点以下1位まで程度の精度で表しておけばよいことが判る。
(小数点以下2桁目以下の部分の数字は、あきらかに信頼できないが、小数点以下1桁目の部分は、4.8 か 4.9 か 5.0 程度の範囲であることを示すために意味がある。一桁少なく丸めた 5 × 10−10 という答えでは、(4.5〜5.5)× 10−10 の範囲を示すことになり、正しい精度で示していることにならない。)
(解答例)
(反応式は省略)テキストp1277の解答を参照のこと。
もちろん、解答例で省略されているからと言って、問題を解いたときに省略してよいわけではないので念のため。
「曲がった矢印」を描く際の約束ごとである、以下の点について、決して忘れないこと。
・電子の動く方向に矢印を描く。
・矢印の出発点は「孤立電子対」や「結合性の共有電子対」である。
・電子対が動く場合は、先端の斜め線が一箇所から2本でている矢印を用いる。(斜め線1本の矢印(片矢印:数字の1のような形の矢印)で描いた場合は、電子対ではなく、一つの電子が動いたことを示すことになる。)
孤立電子対は、その2つともが所属する原子の価電子として数えるのに対し、ルイス酸に配位した形では「2つの電子は、2つの原子の間の結合のために共有されるので」もとの原子の価電子として数えるのは1つの電子となる。以上のことより、中性の原子上の孤立電子がルイス塩基として働いて、中性のルイス酸に配位する反応がおきると、それぞれの原子上に正と負の形式電荷が生じることを忘れないこと。
(解答例)
(形式電荷の計算式については省略。テキストp1278 を参照。テキストp40の表2.2 も参照。)
もちろん、解答例で省略されているからと言って、(以下略)
酸素や窒素については、特に 2.09 のヒントを参照すること。
ホウ素(B)や、アルミニウム(Al)は、中性では価電子が3である。結合を3本もっても原子価殻の電子は6にすぎず、オクテットを満たさない。このために、これらの化合物がルイス酸として働く。4本の結合を持つためには、炭素などと同じように価電子が4つ必要であるが、その際には余分な電子により、−1の形式電荷を帯びることになる。
(解答例)
(図および構造式は省略)
もちろん、解答例で(以下略)
窒素に結合した水素が最も酸性。水素の結合していない方の窒素がより塩基性。
(解答例)
それぞれの炭素と結合した水素の数について、詳細は省略。
もちろん、(以下略)
・ベンゼン環上の骨格構造式でなにも置換基の描かれていない部位には、水素が1つある。
・それ以外の炭素について、3本の結合の交点(ベンゼン環もここに含めて考えることも可能であることは、言うまでもない)の炭素には、水素が1つ結合している。
・2本の結合の交点の炭素には、水素が2つ結合している。
・結合を表す価標の末端はメチル基を表し、水素が3つ結合している。
・ケトン基の炭素のように、4本の結合がすべて他の原子との結合に使われている炭素には、水素は結合していない。
・エストロンの二つのシクロアルカン環の縮合した架橋位のような場所の3級炭素の水素を数え忘れたりしがちである。注意すること。
分子式は、以下の通り。
(a) C9H13NO3
(b) C18H22O2
一般的に、窒素原子を奇数個含む分子は、奇数個の水素を持ち、それ以外は偶数個の水素を持つ。
(解答例)
省略といえば…
骨格構造式を書くとき、炭素以外の原子(酸素、窒素など)および、明示的に示した炭素に結合した水素は省略できないので気をつけること。
(a)
pentane,
2-methylbutane
2,2-dimethylpropane
(直鎖アルカンと分枝アルカンで、これらの化合物は骨格異性体である。)
(b)
ethylamine,
dimethylamine
(1級のアミンと2級のアミン)
(c)
propanal,
2-propanone (or acetone)
(炭素−酸素二重結合(カルボニル)を持つものとしては、アルデヒドとケトンの官能基異性体が存在する。)
(E)-1-propen-1-ol,
(Z)-1-propen-1-ol,
1-propen-2-ol,
2-propen-1-ol,
cyclopropanol,
propylene oxide (or 1,2-epoxypropane),
oxetane
methyl vinyl ether (or methoxyethene)
(その他にも、炭素−炭素二重結合や環状構造を持つものとしては、アルコールとエーテルもある。二重結合を含むアルコールは位置異性体と幾何異性体を含む。)
(d)
1-chlorobutane,
2-chlorobutane,
1-chloro-2-methylpropane,
2-chloro-2-methylpropane
(直鎖アルカンに対する塩素の位置異性体2種と、分枝アルカンに対する位置異性体の2種類)
(解答例)
p-aminobenzoic acid
ベンゼン環上の二重結合の位置は、2通りに書けるうちのどちらでもよい。
(解答例)
(a)
(b)
(c)
2,4-dimethyl-2-pentene,
5,5-dimethyl-2-cyclopenten-1-one,
2-pyrrolidinone (or 4-butanelactam)
(解答例)
以上の3つの共鳴構造を描くことができる。
注意!! は、間違い。二つの環に共通している炭素の結合が5本になっている。
(解答例)
イブプロフェン C13H18O2, 2-(4-isobutylphenyl)propanoic acid
(解答例)
電気陰性度の異なる原子間の結合の電荷の偏り(分極)のベクトルを、赤の矢印で表すと、分子全体の双極子モーメントは、その和となり、青の矢印となる。cis-1,2-dichloroethene では、同じ方向の C-Cl 結合に由来する分極の和として、双極子モーメントが生じるが、trans-1,2-dichloroethene では、逆を向いた C-Cl 結合に由来する分極が打ち消し合うために双極子モーメントは生じない。
(解答例)
(a) indole
(b) 1,3-pentadiene
(c) 1,2-dichlorocyclopentane
(d) quinone
(解答例)
(a) C10H11N
2-isopropylbenzonitrile
(b) C11H11O2Br
7-bromo-5,6,7,8-tetrahydronaphthalene-2-carboxylic acid
(c) C9H12O
6-methyl-4,5,6,6a-tetrahydro-1H-pentalene-2-one
(解答例)
(a) F (b) F (c) O (d) O
(解答例)
カッコ内が、2つの原子の電気陰性度の差。矢印が極性の向き(+→−) (a) H3C→Cl (0.5) > Cl−Cl(0.0) (b) H3C←H (0.4) < H→Cl(0.9) (c) HO←CH3(1.0) > (CH3)3Si→CH3(0.7) (d) H3C←Li(1.5) < Li→OH(2.5)
(解答例)
電気陰性度の異なる原子間の結合(C-H 結合は無視し、C-Cl 結合のみに注目した)の電荷の偏り(分極)のベクトルを、赤の矢印で表すと、分子全体の双極子モーメントは、その和となり、青の矢印となる。
(a) monochlorobenzene | (b) o-dichlorobenzene | (c) m-dichlorobenzene | (d) p-dichlorobenzene |
ベクトルの和(青矢印) | |||
構造より予測される双極子モーメントの相対的な大きさ | |||
1.00 | 1.73 | 1.00 | 0.00 |
(解答例)
H-C 結合においては、H → C の向きに分極している(電気陰性度の差は 0.4 )のに対し、C-Cl 結合においては、C → Cl の向きに分極している(電気陰性度の差は 0.5 )ので、ホスゲンやホルムアルデヒドの C=O 結合の分極(図中の黒矢印)にこれらの分極を重ね合わせると、下図のように、ホスゲンでは結合の分極どうしが打ち消しあって分子の双極子モーメントが小さくなる方向に寄与するのに対し、ホルムアルデヒドでは結合の分極どうしが同じ向きなので、分子の双極子モーメントが大きくなる方向に寄与する。
(解答例)
HClが完全にイオン性であるものとして、その双極子モーメントを計算すると、μ = Q × r において、r( 水素−塩素の原子間距離 )は 136 × 10−12 m、Qは電気素量( 1.60 × 10−19 C )として計算すると、μ = 2.176 × 10−29 C m となる。3.336 × 10−30 C m が 1 D であるから、換算すると、6.52 D となる。実測値は 1.08 D であるから、 1.08 / 6.52 = 0.1656… となり、16.6 % のイオン性を持つことが計算される。
上記よりも、もっと覚えやすい数値として、電気素量の電荷が 100 pmで 4.80 D になるというものがある。これを使っても同じ計算ができる。すなわち、HClが完全にイオン性であるものとして、電荷間の距離が 136 pm であるということは、この時の双極子モーメントは 4.80 × 1.36 として計算される。
(解答例)
双極子モーメントを与える式は、μ = Q × r で与えられるから、Q が同じでも、r が小さければ、双極子モーメントは小さくなる。フッ素の方が塩素に比べて原子半径が小さいから、C-Cl 結合よりも C-F 結合の方が短い。
原子半径のデータ(「現代化学の基礎」学術図書出版社、p44):炭素 77 pm、フッ素64 pm、塩素 99 pm を用いると、C-Cl の結合長は 176 pm、C-F の結合長は 141 pm となる。100%のイオン性であれば、双極子モーメントはそれぞれ、(4.80 × 1.76=)8.45 D、(4.80 × 1.41=)6.77 D となるはずで、問いにあたえられた双極子モーメントの実測値がすべて炭素-ハロゲン結合に由来すると仮定すれば、クロロメタン CH3Cl では(1.87/8.45 =)22%の、フルオロメタン CH3F では(1.81/6.77 =)27%のイオン性を持つという計算になり、電気陰性度の順番と矛盾しないことがわかる。
(解答例)
形式電荷は、カッコ内に示した。計算式は省略。同じ原子種がある場合は左から。
(a) O(+1)、B(-1)
(b) C(-1)、N(+1)、N(0)
(c) O(0)、N(+1)、N(-1)
(d) O(0)、O(+1)、O(-1)
(e) C(-1)、P(+1)
(f) N(+1)、O(-1)
(解答例)
(a) 共鳴形ではない。左の構造式中の4員環のシグマ結合が右の構造式中では切れている。
(b) 共鳴形である。
(c) 共鳴形である。
(d) 共鳴形である。
特に、(c) および (d) に至る電子の動きを矢印で図示すると、次のようになる。
(解答例)
電子の流れを表す矢印は、すべて非共有電子対または多重結合のπ電子から発し、隣接する原子や結合に流れ込む。
(a)
×をつけて示したような、5本の結合をもつカルボニル炭素のように、ある原子の価電子が8を越えてしまうような共鳴構造は存在しない。(左端の構造から、非共有電子対から発するひとつの矢印にそって電子を動かしただけでは、形式的にこのような構造となってしまうため、カルボニル炭素=酸素二重結合のπ電子は、電気陰性度の大きい酸素上に非共有電子対として収納されることになる。)
(b)
(c)
(d)
(e)
(解答例)
もしこの2つの構造が共鳴であるならば、p43 「規則2」より、原子の位置は同じはずである。また、「規則1」より実在の構造は2つの仮想的な共鳴形の中間の構造を持つはずである。二重結合の位置がことなる共鳴構造で描かれるベンゼンのように、実際には単結合と二重結合の長さに区別がなく(言ってみれば1.5重結合のように)単結合と二重結合の中間の距離をもった結合が並んでいることになるはずである。
すなわち、このような共鳴で表されるならばシクロブタジエンは正方形の分子でなければならない。しかし、実際は問題文で与えられているように長方形の分子であり、共鳴で表されるという仮定に一致しない。
(解答例)
(a) CH3OH + HCl → CH3OH2+ + Cl-
(b) CH3OH + NaNH2 → CH3ONa + NH3
上の2つの反応は、関与しないイオンを除いて次のように書くとわかりやすいかもしれない。(酸としてはたらいて放出されたプロトンを下線付きで表した。)
(a') CH3OH + H+ → CH3OH2+
(b') CH3OH + NH2- → CH3O- + NH3
(解答例)
理由その1: 炭素にくらべて酸素の方が電気陰性度が高いので、炭素に結合した水素にくらべて酸素に結合した水素はより強く分極しており、より酸性である。
理由その2: 酢酸の共役塩基であるイオン CH3CO2− は、次に示すような共鳴により安定である。より安定であるということは、プロトンを相対的に受け取らないのだから、塩基として弱い。共役塩基が弱塩基であるということは、もとの酸が強酸であることを示す。
(解答例)
(a) AlBr3 : Lewis 酸
(b) CH3CH2NH2 : Lewis 塩基 :N が非共有電子対を持つ。
(c) BH3 : Lewis 酸
(d) HF : プロトン供与体であるから Brønsted 酸であるが、狭義の Lewis 酸ではない。
(e) CH3SCH3 : Lewis 塩基 :S が非共有電子対を持つ。
(f) TiCl4 : Lewis 酸
(解答例)
(a) (b) (c) (d) (e) (f)
(解答例)
酸は赤で示した。
(a) CH3OH + H2SO4 → CH3OH2+ + HSO4-
(b) CH3OH + NaNH2 → CH3ONa + NH3
(c) CH3NH3+Cl- + NaOH → CH3NH2 + H2O + NaCl
なお、(c)は、反応に関与しないイオンを除いて書くと次のようになる。
(c') CH3NH3+ + OH- → CH3NH2 + H2O
(解答例)
この問いでは、炭素と水素に関してはすべて形式電荷0である。その他の部分は、
(a) N(+1)、O(-1)
(b) N(-1)、N(+1)、N(0)
(c) N(0)、N(+1)、N(-1)
なお、(b) と (c) は互いに共鳴形である対である。
Ka = | [ H+] | [ A−] |
[ HA ] |
(解答例)
pKa の値が小さいほど、酸として強い。
アセトン(pKa=19.3) < フェノール(pKa=9.9) < 2,4-ペンタンジオン(pKa=9.0) < 酢酸(pKa=4.75)
(解答例)
水酸化物イオン OH-の共役酸である水(pKa=15.74)よりも pKa の小さな(より強い)酸は、水酸化物イオンと反応する。したがって、フェノール(pKa=9.9) 、2,4-ペンタンジオン(pKa=9.0)、酢酸(pKa=4.75) の3種類は、水酸化ナトリウムと(ほぼ)完全に反応する。
(発展)K = | [ A− ] | [ H2O ] | = | [ H+] | [ A−] | × | [ H2O ] | = | Ka(HA) | |
[ HA ] | [ OH−] | [ HA ] | [ H+] | [ OH−] | Ka(H2O) |
Ka = | [ PhO−] | [ H+] | = 10−9.9 |
[ PhOH ] |
[ PhO−] | = | Ka | = 1 |
[ PhOH ] | [ H+ ] |
[ PhO−] | = | Ka | = 10−2 |
[ PhOH ] | [ H+ ] |
[ PhO−] | = | Ka | = 102 |
[ PhOH ] | [ H+ ] |
(解答例)
アンモニア(NH3)は、アンモニウムイオン(NH4+)の共役塩基、
メチルアミン(CH3NH2)は、メチルアンモニウムイオン(CH3NH3+)の共役塩基である。
メチルアンモニウムイオンは相対的に弱い酸であるから、その共役塩基であるメチルアミンは、アンモニアより強い塩基である。
(解答例)
水中で作ることはできない。
tert-BuO- + H2O ←→ tert-BuOH + OH-
という式を考える。tert-BuOH(pKa=18)と H2O(pKa=15.74)では、水の方が強い酸であるから、水がプロトンを放出して反応は右へ進行する。
(解答例)
ピリジン酢酸塩(C5H5NH+・CH3CO2-)が生じる。下の式に従って生じる陽イオンと陰イオンからなる塩である。
(解答例)
(a) Ka = 10-19.3 = 5.01 × 10-20 (b) Ka = 10-3.75 = 1.78 × 10-4
(解答例)
(a) pKa = − log10(5.0 × 10-11) = 10.30 (b) pKa = − log10(5.6 × 10-5) = 4.25
Ka = | [ HCO2−] | [ H+] | = 10−3.75 = | ( C α ) | ( C α ) | = | C α2 |
[ HCO2H ] | C ( 1 − α ) | 1 − α |
(解答例)
ヒントに従って解くと、解離度 α は、0.0596 となるから、[ H+] = 2.98 × 10-3 mol/L である。従って、pH = − log [ H+] = 2.5 となる。
(解答例)
酢酸(pKa=4.75)
2.45 に示された酸を、一般的に HA と書くものとし、
HCO3- + HA ←→ H2CO3 + A-
という式を考える。H2CO3(pKa=6.37)よりも強い酸 HA は、HCO3- にプロトンを与え、自身は A- となり、反応は右へ進行する。従って、pKa が 6.37 より小さな酸のみが炭酸水素ナトリウムと反応する。
(解答例)
2.53 に示したように、酢酸のみが炭酸水素ナトリウムと反応して二酸化炭素を生じる。フェノールは反応しない。
(解答例)
酸は赤で、塩基は青で示した。ただし、右辺は左辺に対する共役酸や共役塩基である。
(a) CH3OH + H+ → CH3OH2+
(b) CH3C(=O)CH3 + TiCl4 → CH3C(=O+:Ti-Cl4)CH3
(c) C6H10O + Na+・H- → C6H9O-・Na+ + H2
(d) C4H8ONH + BH3 → C4H8ON+(H)(B-H3)
(解答例)
(a) 共鳴構造である。 (b) 共鳴構造ではない。水素原子の位置が左右で異なっているため。 (c) 共鳴構造ではない。水素原子の位置が左右で異なっているため。 (d) 共鳴構造である。
(解答例)
(a)
(b)
(c)
(b) や (c) において、×で示した構造は、電気陰性度が高い窒素や酸素原子から電子対を奪われて価電子が6個になったもの(青字で示した原子)を含み、重要ではない。
(解答例)
形式電荷は、下図にも示したように酸素(−1)、硫黄(+2)である。
ジメチルスルホンの双極子モーメントは、一つの結合だけに由来するのではない。メチル−中心の硫黄の間の分極、および、中心の硫黄−酸素の間の分極のすべての和(ベクトル和)として、双極子モーメントが生じている。
(解答例)
単結合の酸素がプロトン化された構造は、共鳴構造を書くことができない。間違った電子の動きにより、無理に共鳴を描こうとした例を次に示す。
上段の例では、青字で示された酸素原子が、本来、電気陰性度が高いにもかかわらず、+2の形式電荷を担わされており不自然である。
逆の方向へ電子を流すような下段の例では、赤字で示された酸素原子は6個の価電子しかもたない上に、緑字で示された酸素原子に至っては10個の価電子を持つことになるので、このような共鳴構造は考えることができない。
二重結合の酸素がプロトン化を受けた場合には、この図のような共鳴安定化が考えられる。
(解答例)
ここでは、単に結合の分極から生じる双極子モーメントの向きのみを問題にする。実際には、同じ「炭素−酸素」結合でも、アルコールのように単結合の場合と、カルボニル基の二重結合の場合では、分極の度合いが異なる。(単結合の σ電子にくらべ、二重結合の π電子は分極しやすい。)
(解答例)
フェノールの共役塩基、フェノキシドイオン(C6H5O-)は、以下で示すような共鳴効果により安定であるために(プロトンを受け取りにくく、弱塩基であるから)、フェノールはアルコールと比較してより強い酸である。