(解答例)
簡単な分子式の場合は、構造式を描いてみるのが一番はやい。分子式から、不飽和度に影響を与えないフラグメント( CnH2n )を差し引いてから不飽和度を求めても同じ結果となる。
(a) C8H14
{(8*2+2)-14}/2 = 2
(b) C5H6
{(5*2+2)-6}/2 = 3
(c) C12H20
{(12*2+2)-20}/2 = 3
(d) C20H32
{(20*2+32)-6}/2 = 5
(e) C40H56
{(40*2+2)-56}/2 = 13
(解答例)
構造式は省略。以下に、区別可能な異性体の種類を挙げる。
(a) C4H8 は、不飽和度が1であるから、
環をもつもの:2種類
環を持たないもの;
一番長い炭素鎖が4のもの:2種類(シス−トランス異性体を別に数えると3種類)
一番長い炭素鎖が3のもの:1種類
(b) C4H6 は、不飽和度が2であるから、
2つの環をもつもの:1種類
1つの環と二重結合をもつもの:4種類
環を持たないもの;
2つの二重結合をもつもの:2種類
3重結合を1つもつもの:2種類
(c) C3H4 は、不飽和度が2であるから、
2つの環をもつもの:0種類
1つの環と二重結合をもつもの:1種類
環を持たないもの;
2つの二重結合をもつもの:1種類
3重結合を1つもつもの:1種類
(解答例)
(a) C6H5N → C6H4 と同じ不飽和度
{(6*2+2)-4}/2 = 5
(b) C6H5NO2 → C6H4 と同じ不飽和度
{(6*2+2)-4}/2 = 5
(c) C8H9Cl3 → C8H12 と同じ不飽和度
{(8*2+2)-12}/2 = 3
(d) C9H16Br2 → C9H18 と同じ不飽和度
{(9*2+2)-18}/2 = 1
(e) C10H12N2O3 → C10H10 と同じ不飽和度
{(10*2+2)-10}/2 = 6
(f) C20H32ClN → C20H32 と同じ不飽和度
{(20*2+2)-32}/2 = 5
(解答例)
(a) 3,4,4-trimethyl-1-pentene
2,2,3-trimethyl-4-pentene ではない。
(b) 3-methyl-3-hexene
(c) 4,7-dimethyl-2,5-octadiene
(解答例)
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(解答例)
(a) 1,2-dimethylcyclohexene
(b) 4,4-dimethylcycloheptene
(c) 3-isopropylcyclopentene
or, 3-(1-methylethyl)cyclopentene
(解答例)
(a), (b), (d) は、二重結合の炭素の一方に、同じ置換基が2つ結合している。このようなものについては、シストランス異性体(幾何異性体)は存在しない。
左のものがシス(水素と水素が同じ側にあるから)、右のものがトランス。
(c)
(e)
(f)
(解答例)
(a) cis-4,5-dimethylhex-2-ene
(b) trans-6-methylhept-3-ene
それぞれ、cis-4,5-dimethyl-2-hexene、trans-6-methyl-3-heptene という書き方もあるけれど、新しいIUPAC勧告に従った命名に慣れること。
(解答例)
原子番号の大きい順。
同じ原子の場合は、次の原子で判断する。(ここでは特殊な表記を用いて赤字で示した。元素記号に隣接したカッコ内に、その原子から結合しているとみなす原子(や、原子団)を書いた。)
(a) −Br > −H
(b) −Br > −Cl
(c) −CH2CH3 > −CH3 : −C(C(H,H,H),H,H) > −C(H,H,H)
(d) −O(H) > −N(H,H)
(e) −CH2OH > −CH3 : −C(O(H),H,H) > −C(H,H,H)
(f) −CH=O > −CH2OH : −C(O(C),O,H) > −C(O(H),H,H)
(解答例)
(a) −Cl > −OH > −CH3 > −H
(b) −CH2OH > −CH=CH2 > −CH2CH3 > −CH3 : −C(O(H),H,H) > −C(C(C,H,H),C,H) > −C(C(H,H,H),H,H) > −C(H,H,H)
(c) −CO2H > − CH2OH > −C≡N > −CH2NH2 : −C(O(C),O(H),O) > −C(O(H),H,H) > −C(N(C,C),N,N) > −C(N(H,H),H,H)
(d) −CH2OCH3 > −C≡N > −C≡CH > −CH2CH3 : −C(O(C(H,H,H)),H,H) > −C(N(C,C),N,N) > −C(C(C,C,H),C,C) > −C(C(H,H,H),H,H)
(解答例)
(a),(c) → Z
(b),(d) → E
(解答例)
構造式に書き直すと、次の通り。
これを、多重結合の部分に、「規則3」でいうところの等価な単結合原子(赤文字)を補って表示すると次図のようになる。
向かって左側、vinyl 基と isopropyl 基の優先順位を決める際、青の数字の順に原子を確認する。(1) 始めの原子が C で共通、(2)(3)(4) そこに結合した原子も C,C,H で共通である。(5) 二重結合からの結合の数が3本目の原子として C(5),H,H の結合した炭素( C(2) )の方が、H(5),H,H の結合した炭素より優先順位が上であることが決まる。よって、vinyl 基の方が優先順位が上である。
向かって右側、methoxycarbonyl 基と、hydroxymethyl 基では、O,O,O の結合した methoxycarbonyl 基 の炭素の方が、O,H,H の結合した hydroxymethyl 基の炭素より、優先順位が上である。
したがって、Z 体である。
(解答例)
(a) 1-butene と 2-methyl-1-propene 。より多置換である 2-methylpeopene の方が安定。
(b) (Z)-2-hexene と、(E)-2-hexene 。立体障害の小さな E-体の方が安定。
(c) 1-methylcyclohexene と 3-methylcyclohexene 。より多置換である 1-methylcyclohexene の方が安定。
(b) では、命名に E/Z 表記を用いることに慣れて欲しいが、 cis-, trans- の表記でも間違いとはしない。
(解答例)
(a)
chlorocyclohexane
(b)
2-bromo-2-methylpentane
(c)
2-iodopentane
(d)
1-bromo-1-methylcyclohexane
(解答例)
(a)
cyclopentene と HBr により生じる。
(b)
1-ethylcyclohexene または、ethylidenecyclohexane と HI とにより生じる。
(どちらから出発しても、中間体としては、3級のカルボカチオンしか生じない。)
(c)
3-hexene と HBr により生じる。
2-hexene からは、上図のように2種類の2級のカルボカチオンを生じてしまうから、3-bromohexane 以外に、2-bromohexane が同じくらい生じてしまう。
(d)
vinylcyclohexane と HCl により生じる。もし、 ethylidenecyclohexane を用いると、(b) のように3級のカルボカチオンを優先して生じるから、(1-chloroethyl)cyclohexane ではなく、1-chloro-1-ethylcyclohexane を生じてしまう。
(解答例)
(a)
(b)
(解答例)
構造式に書き直すと、次のようになる。
水色の平面の中心にある炭素が、3配位、平面型であることから、カルボカチオンの中心炭素であると判断できる。従って第2級のカルボカチオンである。
この立体配座にあるとき、カチオン炭素の空の p 軌道 は、水色の平面に垂直な方向にでているから、これと同じ方向をむいている C-H シグマ結合が超共役に関与する。
立体配座を固定しない(単結合の周りの自由回転を許す)なら、カチオン炭素に隣接した2つの炭素から結合している合計6本のシグマ結合(C-H シグマ結合に限るなら4本)のすべてが、超共役に関与する可能性がある。(これらが同時には関与できない。それぞれの配座において、カチオン炭素の空の p 軌道と平行に近いものだけが関与する。)
(解答例)
中間体は、(反応出発物質や)反応生成物よりエネルギーが高いはずであるから、発エルゴン過程である。(もし、一番安定なエネルギーであれば、反応の途中で生じる単離されない物質ではなく、安定な生成物として単離されるようになる。)
第2段階の遷移状態は、中間体から生成物への変化の途中に生じる遷移状態である。Hammond の仮説によれば、この遷移状態は、中間体に近い構造を持つはずである。
左の図では、赤の破線のエネルギー曲線で中間体を表した。(反応してしまうことなく、安定な構造から、構造が変化すると、エネルギーは高くなる。)青の破線は、生成物の構造のポテンシャルエネルギー曲線である。(たとえば、C−Cl 結合の長さが伸びればエネルギーの高い状態になる。)
この両者ともに近い構造が、遷移状態の構造であると考えられ、共通のポテンシャルエネルギー曲線上にある(付近の)点を経由して、反応は進行する(黒の実線)と考えられる。
中間体は、平面3配位のカルボカチオン、生成物は4面体型の4配位であるから、遷移状態はその中間で、正電荷をもつ炭素と塩素アニオンの間で引力的な相互作用がはじまり、結合が出来かけたような状態であると予想される。塩素アニオンから電子が流れこんで共有結合を生成すると、生成物である。
(解答例)
3級水素がヒドリドとして隣接炭素上へ移動(転位)することにより、より安定な3級のカルボカチオンを生じる。
(解答例)
(a)
2,4,5-trimethyl-2-hexene
(b)
1-ethyl-3,3-dimethylcyclohexene
(解答例)
図中、太い線で表した位置の二重結合に対して立体化学が区別できる。複数の二重結合に対して立体化学が区別できるときも、同様の命名に従う。(→発展の項を参照)
(a)
(E)-3-chloro-2-isopropylbut-2-enal
(b)
(Z)-2-methoxy-3,4-dimethyl-2,4-pentadienoic acid
(解答例)
生じたカルボカチオンの正電荷は、もとの二重結合に関与した2つの炭素の一方であったことを考えると、上図のようになる。どちらの場合も、もとの二重結合の炭素上の置換基の数は1と2であり、従って2級および3級のカルボカチオンが生じる可能性のある構造であるが、実際にはどちらから出発した場合でも、3級のカルボカチオンのみが生じると予想できる。
超共役が最大になるのは空のp軌道と平行な方向に結合したC-Hである。
ほとんど平面内にある5員環の炭素からでている C-H 結合は、カルボカチオンの電荷をもつ炭素の空のp軌道と平行になることができない。エチル基は5員環に対して自由に回転することができるので、空のp軌道との超共役が大きい(すなわち安定なカルボカチオンを生じるような)角度をとることができる。
(解答例)
同じ不飽和度でも、可能な構造は、そこに含まれる環構造の数で分類することができる。たとえば不飽和度が2であれば、可能な構造として次の場合がある。
・多重結合を2つ持つ場合。(3重結合が1つ、または2重結合が2つ)
・環の構造を1つと、多重結合を1つ持つ場合。
・環の構造を2つもつ場合。
図で与えた例は、それぞれいくつの環構造と多重結合を含むか、数えて確認すること。
ただし、多重結合は炭素−炭素間のみとは限らない。代表的なそれ以外の多重結合としては、カルボニル( C=O )や、ニトリル( C≡N )などがあり得る。
また、環の員数は3以上の任意であるし、環以外の部分は直鎖状でも分岐していても構わない。つまり、含酸素化合物では、エーテルおよびアルコール、アルデヒド、ケトンなどを考える必要がでてくる。
このため、いくつかの代表的な例のみを示し、"すべての"可能な構造式を与えることはしない。
(a) C10H16 … 不飽和度 = 3 (= [22-16]/2 )
(b) C8H8O … 不飽和度 = 5 (= [18-8]/2 )
(c) C7H10Cl2 … 不飽和度 = 2 (= [16-(10+2)]/2 )
(d) C10H16O2 … 不飽和度 = 3 (= [22-16]/2 )
(e) C5H9NO2 … 不飽和度 = 2 (= [12-(9-1)]/2 )
(f) C8H10ClNO … 不飽和度 = 4 (= [18-(10+1-1)]/2 )
(解答例)
C10H14 の分子式を持つ分子の不飽和度は、4 (=[22-14]/2)である。接触水素化により、2モルの水素を吸収するから、分子内には二重結合が2つ(または三重結合が1つ)存在し、残りは環構造に由来すると考えられる。
従って、この化合物は上図のように2つの環を持つ。
(解答例)
C12H13N の分子式を持つ分子の不飽和度は、7 (=[26-(13-1)]/2)である。この分子が環構造を2つもつならば、多重結合に由来する不飽和度は5である。
左図、一番上のように分子内に芳香環が存在しないなら、すべての二重結合は接触水素化により水素1モルずつを吸収するから、5モルの水素を吸収することになる。
中央のように、分子内に芳香環が1つ存在する場合には、接触水素化により吸収する水素は、2モルとなる。
また、下図のように2つの環がともに芳香環となっている場合では、芳香環に属しているもの以外の二重結合がないから、接触水素化で水素を吸収しない。
(解答例)
教科書の記法(多重結合の位置を表す位置番号を母体名の前に置く)に従って命名した。なお、[ ] 内は、IUPAC に厳密に従い、官能基を表す接尾語の直前に位置番号を置いた場合である。(教科書 p180 脚注参照のこと。)
(a) (E )-4-methyl-2-hexene
[ (E )-4-methylhex-2-ene ]
(b) (Z )-4-ethyl-7-methyl-2-octene
[ (Z )-4-ethyl-7-methyloct-2-ene ]
(c) 2-ethyl-1-butene
[ 2-ethylbut-1-ene ]
(d) (E )-3,4-dimethyl-1,5-heptadiene
[ (E )-3,4-dimethylhepta-1,5-diene ]
(e) (2Z, 4E )-4,5-dimethyl-2,4-octadiene
[ (2Z, 4E )-4,5-dimethylocta-2,4-diene ]
(f) 1,2-butadiene
[ buta-1,2-diene ]
(c) は、"多重結合を含む中で"一番長い部分を主鎖にとるから、3-methylidenepentane ではない。
(d) は、(置換基の位置よりも優先して)二重結合の位置番号が小さくなるように番号を振ることに注意する。
(e) 2つの二重結合の立体化学を表す場合は、6.21の(発展)を参照すること。
(f) このように連続した二重結合は、集積二重結合とよばれる。間の炭素は sp 混成で、結合角は180度である。
(解答例)
(3E )-3,7-dimethyl-1,3,6-octatriene
[ (3E )-3,7-dimethylocta-1,3,6-triene ]
(解答例)
(3E, 6E )-3,7,11-trimethyl-1,3,6,10-dodecatetraene
[ (3E, 6E )-3,7,11-trimethyldodeca-1,3,6,10-tetraene ]
(解答例)
上段左より (a) 〜 (c)、下段左より (d) 〜 (f)
(解答例)
(解答例)
それぞれの構造に対応する命名については、ヒントを参照のこと。
(解答例)
赤で示した構造は、幾何異性体をもつ。(ここでは一方のみを示している。そのため、問題に指定してある17種のうち、13種のみを示す。)
上段左より順に
1-hexene, (E)-2-hexene, (E)-3-hexene
2-methyl-1-pentene, 3-methyl-1-pentene, 4-methyl-1-pentene
2-methyl-2-pentene, (E)-3-methyl-2-pentene, (E)-4-methyl-2-pentene
2,3-dimethyl-1-butene, 3,3-dimethyl-1-butene, 2-ethyl-1-butene
2,3-dimethyl-2-butene,
さがす順として、6.31 ヒント(別法)に示したように、まずはじめに対応するアルカンの構造異性体(下図、左列)をすべて書きだし、それぞれについて、重複のないように二重結合を置いてもよい。
(ここで幾何異性体の一方のみを示しているのは、上と同じ。)
(解答例)
(Z)-2-butene, (Z)-2,2,5,5-tetramethyl-3-hexene の構造を次に示す。
上図よりわかるように、メチル基同士の立体反発に由来する 2-butene の Z 体における E 体に比較しての不安定さよりも、t-ブチル基同士の立体反発に由来する 2,2,5,5-tetramethyl-3-hexene の Z 体における E 体に比較しての不安定さの方が大きい。
(解答例)
上図、赤で示した5本の結合は、(ほぼ)同一平面内にある。員数のおおきなシクロアルケンは、上図のシクロデセンの構造式のように、Z 体、E 体ともにとることが可能であるが、員数の小さなシクロヘキセンは、Z 体しかとることができない。
問い 6.35, 6.36 にも関連して、シクロオクテン、シクロノネンにおいても Z 体以外に、E 体をとることも可能であるが、これらのシクロアルケンにおいては E 体の方が不安定であり、その度合いは環の員数が小さいほど大きくなる。これは、E 体においては、図に赤で示されたような二重結合とその上の置換基の根元の原子をすべて同一平面内に置こうとしたときに、環の員数が小さいときには長さが足りず、歪むからであると考えられる。
(Z)-cyclohexene
(E)-cyclooctene
以下のリンク先は、Jmol による3次元模型です。マウスドラッグで回転させることができるので、ぐりぐり廻してみてください。シクロオクテンでは、シストランスの異性体が可能という意味がよくわかると思います。
シス−シクロオクテンの3次元模型
トランス−シクロオクテンの3次元模型
(解答例)
6.34 のヒントと解説を参照すること。
(解答例)
6.34 のヒントと解説を参照すること。
(解答例)
中央の炭素は、sp 混成をしており、上図のような p 軌道をもつ。
sp 混成の炭素の結合角は 180 度である。従って、アレンは3つの炭素が直線状に並んでおり、また、4つの水素は直交した2つの面の上にある。
(解答例)
たとえば同じ pentane を与えるような水素化反応2つを考える。
出発物質は、一方は集積二重結合をもつアレン類(下図左 1,2-pentadiene)、もう一方は集積ではない二重結合を2つもつジエン類(下図右、1,4-pentadiene)であるものとする。
左は、アレンの水素化熱は置換基に依ってはさほど変化しないと仮定して、298 kJ/mol の発熱反応であり、また右は、プロペンの水素化熱を2倍して求められるように、252 kJ/mol の発熱反応となる。すなわち、アレンはジエンよりも一般に不安定である。
(解答例)
(a)
3-chloro-3-methylhexane
(b)
1-bromo-1-ethylcyclopentane
(c)
4-iodo-2,2,4-trimethylhexane
(d)
この反応は、上のようなジカチオンを経由すると考えるより、まず塩化水素が1モル付加して 6-chloro-1-heptane を生じ、つづいて2モルめの塩化水素が付加すると考えた方が自然である。
2,6-dichloroheptane
(e)
生じるカルボカチオンは、どちらも2級で安定性に大きな差はない。このため、2種類の生成物はほぼ等しい量生じると予想される。
1-bromo-3-methylcyclohexane, 1-bromo-2-methylcyclohexane
(解答例)
(a)
1-bromo-1-methylcyclohexane
(b)
1-bromobicyclo[4.4.0]decane,
or 4a-bromo-1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a-decahydronaphthalene
ことなる体系の命名法で、位置番号が異なることに注意する。
(c)
3-bromo-2-methylpentane, 2-bromo-4-methylpentane
(解答例)
原子番号の大きい順。同じ原子については、次の原子で判断する。(判断した位置を下線で表記した。)
(a) -I > -Br > -CH3 > -H
(b) -OCH3 > -OH > -COOH > -H
(c) -CO2CH3 (-C-{O[CH3], O[(C)], (O)}) > -CO2H (-C-{O[(C)], O[H], (O)}) > -CH2OH (-C-{O, H, H}) > -CH3 (-C-{H, H, H})
2番目の原子として{O, O, O}×2通り > {O, H, H} > {H, H, H} としたのち、2つの{O, O, O}については3番目の原子以降(カッコ [ ] で表現した)を考慮した。カッコ ( ) は、多重結合を開いてその先の結合を考えない原子を表している。
(d) -C(=O)CH3 (-C-{O, O, C}) > -CH2CH2OH (-C-{C[O, H, H], H, H}) > -CH2CH3 (-C-{C[H, H, H], H, H}) > -CH3 (-C-{H, H, H})
(e) -CH2Br (-C-{Br, H, H}) > -CN (-C-{N, N, N}) > -CH2NH2 (-C-{N, H, H}) > -CH=CH2 (-C-{C, C, H})
(f) -CH2OCH3 (-C-{O[C], H, H}) > -CH2OH > (-C-{O[H], H, H}) > -CH=CH2 (-C-{C, C, H}) > -CH2CH3 (-C-{C, H, H})
(解答例)
立体配置も含めたこれらの化合物の命名は次の通り。
(a) (Z)-2-methyl-2-buten-1-ol
(b) (Z)-2-chloro-3-methoxy-2-propenoic acid
(c) (E)-2-ethyl-4-hydroxy-3-methyl-2-butenenitrile
(d) 2-[1-ethyl-2-propen-(Z)-ylidene]malonic acid monomethyl ester
(解答例)
(a) 3-methylcyclohexene
(b) 1,5-dimethylcyclopentene
(c) 1-ethyl-1,3-cyclobutadiene
(d) 1,2-dimethyl-1,4-cyclohexadiene
(e) 5-methyl-1,3-cyclohexadiene
(f) 1,5-cyclooctadiene
(解答例)
(a) 正しい
(b) 正しい:CH2-CH=CH2 と CH2-CH(CH3)2 を比べると、2番目の炭素から結合しているものはともにC, C, H であるが、その下位の原子を数えると {C[(C)], C[H2], H} および {C[H3], C[H3], H} となるから、2-propenyl基の方が順位が高い。
(c) 誤り:-CH2NH2 と -CH2NHCH3 を比べると、2番目の窒素から結合しているものが {H, H} および {C, H} なので後者の方が順位が高い。
(d) 正しい:-CN は -C-{N[(C), (C)], (N), (N)} と多重結合を開くことができる。-CH2N(CH3)2 は、-C-{N, H, H} だから、炭素に結合した原子の種類だけで順位が決まる。
(e) 誤り:cyclopentylidene 基は左右対称なので、幾何異性体は存在しない。
(f) 正しい:-CO2H は -C-{O[(C), O[H], (O)]} と開くことができ、-C(=O)CH3 ( -C-{O[(C)], (O), C[H3]} ) より順位が高い。
(解答例)
tert-ブチルエステルは、メチルエステルよりも順位が上であるが、加水分解して生じるカルボキシ基はメチルエステルよりも順位が下となる。このため、二重結合のまわりの立体が入れ替わるのではなく、単に命名のルール上で、E, Z の表記が入れ替わるだけである。
(解答例)
ヒントに示した上の図のうち、
1 の結合、すなわち π 結合のみの結合解離エネルギー D1 は、表5.3 の二重結合と単結合の結合解離エネルギーより、235 ( = 611 - 376 ) kJ/mol である。
2 の結合、すなわち H-X の結合解離エネルギー D2 は、表5.3 より、432 (HCl)、366 (HBr)、298 (HI) kJ/mol である。
3 の結合、すなわち C2H5-H の結合解離エネルギー D3 は、表5.3 より、420 kJ/mol である。
4 の結合、すなわち C2H5-X の結合解離エネルギー D4 は、表5.3 より、338 (C2H5Cl)、285 (C2H5Br)、222 (C2H5I) kJ/mol である。
エテンへの HX の付加反応では、π 結合と H-X 結合が切れ、代わりに C-H 結合および C-Cl 結合ができるから
ΔHo = ( D1 + D2 ) - ( D3 + D4 ) である。
従って、HCl の付加反応では、
ΔHo = ( 235 + 432 ) - ( 420 + 338 ) = -91 kJ/mol
HBr の付加反応では、
ΔHo = ( 235 + 366 ) - ( 420 + 285 ) = -104 kJ/mol
HI の付加反応では、
ΔHo = ( 235 + 298 ) - ( 420 + 222 ) = -109 kJ/mol
最も発熱的である反応は、HI の付加反応であり、これが最もおこりやすいと考えられる。
(解答例)
(a)
のように、2級カルボカチオンに転位する。
3級カルボカチオンは、次図のように更に2回の転位を経ないと生じないが、途中で、より安定性が低く2級のカルボカチオンからの転位が生じにくい1級のカルボカチオンを経由しないといけないので、考えなくてよい。(絶対に生じないという保障はない。実験の条件によって変わる可能性は残されている。)
(b) もとの2級カルボカチオンよりも安定な3級のカルボカチオンが生じるような転位のみを考える。
(c)
(解答例)
はじめに生じたカルボカチオンと塩化物イオンが反応すると通常の生成物として、1-chloro-1-isopropylcyclohexane が得られるが、カルボカチオンが、更に転位してから塩化物イオンと反応すると、1-(1-chloro-1-methylethyl)cyclohexane を生じる。
(解答例)
教科書の問いに示された図では、生成物の構造が上下逆に示されている。
(解答例)
2-メチル-1-シクロブチルカチオンを経由して、1-ブロモ-2-メチルシクロブタンを生じる。
(解答例)
(a) Cholesterol, コレステロール, C27H46O :不飽和度 = 5 (= ( 56 - 46 )/2 )
次図のように、4つの環構造と1つの二重結合をもつ化合物である。
IUPAC名 : cholest-5-en-3β-ol
(b) DDT (Dichloro-Diphenyl-Trichloroethane), C14H9Cl5 :不飽和度 = 8 (= ( 30 - ( 9 + 5 ))/2 )
次図のように2つの芳香環(環2つと二重結合6つ)をもつ化合物である。
IUPAC名 : 1,1,1-trichloro-2,2-bis(p-chlorophenyl)ethane
(c) プロスタグランジンE1, PGE1, C20H34O5 :不飽和度 = 4 (= ( 42 - 34 )/2 )
次図のように環構造1つの他、炭素−炭素二重結合1つ、カルボニル(カルボン酸中のものを含む)2つをもつ化合物である。
IUPAC名 : (1R,2R,3R)-3-hydroxy-2-[(E)-(3S)-3-hydroxy-1-octenyl]-5-oxocyclopentaneheptanoic acid
(d) カフェイン, Caffeine, C8H10N4O2 :不飽和度 = 6 (= ( 18 - ( 10 - 4 ))/2 )
IUPAC名 :3,7-Dihydro-1,3,7-trimethyl-1H-purine-2,6-dione
次図のように環構造2つ、二重結合4つ(カルボニル等を含む)をもつ化合物である。
(e) コルチゾン, Cortisone, C21H28O5 :不飽和度 = 8 (= ( 44 - 28 )/2 )
IUPAC名 :17,21-dihydroxypregn-4-ene-3,11,20-trione
次図のように環構造4つ、炭素−炭素二重結合1つと3つのカルボニル基をもつ化合物である。
(f) アトロピン, atropine, C17H23NO3 :不飽和度 = 7 (= ( 36 - ( 23 - 1 ))/2 )
IUPAC名 :tropan-3α-yl rac-3-hydroxy-2-phenylpropanoate
次図のように3つの環構造、4つの多重結合をもつ化合物である。
(解答例)
カルボカチオンは、1級から3級になる。
自発的に反応がおこることからも、より安定な生成物を与える反応で、発エルゴン的であるということがわかる。
Hammond の仮説より、発エルゴン的な反応なので、遷移状態は出発物に近いと考えられる。
(解答例)
1級より2級のカルボカチオンの方が安定であるから、エネルギー図において、下方に描く。
(解答例)
6.53 を参照
(提出するノートに「6.53 を参照」などと書くのはやめましょう。それが答えなのではありません。6.53 を参照しながら自分で考えて答えを判断して書く、または、自分で書いた答えを 6.53 を見ながら合っているかどうかを判断する、などしてください、という意味です。)
(解答例)
この反応では、1-chloropropane から生じた1級のカルボカチオンは、ヒドリド転位により2級のカルボカチオンに転位してからベンゼンと反応するため、主生成物としてイソプロピルベンゼンを与える。
(解答例)
いずれも構造から考えられるカルボカチオンが、1級と2級、2級と3級のように安定性に差があるため、一方しか生じない。このため、主生成物もそれぞれ1つである。
(a)
3-methylpenan-3-ol
(b)
1-methylcyclohexan-1-ol
(c)
4-methylpenan-2-ol
(解答例)
反応機構については、11章で学ぶ。