(シクロヘキサン環の環反転のイメージ):gifアニメを見るにはここをクリック
赤と青は水素原子、黒は炭素原子です。
環反転の際のエネルギー障壁は、エタンの炭素−炭素の回転とほぼ同じ程度なので、室温で非常に早く進行します。1秒間に10万回くらい、下のアニメーションのような動きをするとのことです。そのため、たとえばメチルシクロヘキサンのように置換基をもつ場合でも、2つの配座異性体(メチル基がアキシャル位にあるもの、エカトリアル位にあるもの)を室温で分離することはできません。
註1 炭素骨格の結合角ひずみ、また、12組の水素間の重なり形相互作用(ねじれひずみ)があり、エネルギーが高いために、平面正六角形型は途中で経由せず、代わりに舟形(およびねじれ舟形)を通るのですが、このアニメーションの動きは、厳密に正しいわけではありません。およそのイメージとして捉えてください。
註2 gif アニメーションの作成には、「GIFアニメ工房」というサイトを利用しました。
(解答例)
(a) 1,4-dimethylcyclohexane
(b) 1-methyl-3-propylcyclopentane
(c) 3-cyclobutylpentane
(d) 1-bromo-4-ethylcyclodecane
(e) 1-isopropyl-2-methylcyclohexane
or
1-methyl-2-(1-methylethyl)cyclohexane
(f) 4-bromo-1-tert-butyl-2-methylcycloheptane
or
4-bromo-1-(1,1-dimethylethyl)-2-methylcycloheptane
(解答例)
構造式は以下の通り。
(a)
(b)
(c)
(d)
なお、(a) は左右とも同じものを表す図である。(b) の右は 1-ethyl-1-propylcyclobutane であり、シクロブチル基のついたアルカンではない。
(c) は、シス、トランスの指定がないから立体的な区別を意識せずに構造式を書いてよい。もし指定がある場合は、教科書 4.2 節を参考にして、楔型の結合の価標を用いて書く。
(解答例)
の構造を持つので、番号は( 1,3,3- よりも小さくなるように)1,1,3- と一意的に決まる。置換基はエチル基とジメチル基なので、アルファベット順でエチル(e)、ジメチル(m)の順。従って
3-ethyl-1,1-dimethylcyclopentane
(解答例)
(a) trans-1-chloro-4-methylcyclohexane
(b) cis-1-ethyl-3-methylcycloheptane
なぜか多い間違い。× cloro → ○ chloro
(発展)
なお、単環式化合物における立体配置異性体(シス−トランス異性体)を表す記名法のルールは次のようになっている。
註:
*1
1,c-2,t-3-trichlorocyclohexane
1位と2位の塩素間はシス、1位と3位の塩素間はトランスである。
立体配置異性体を区別しないならば、「
*2
1-2位はいずれにしてもトランスであるが、1-4位の間が(優先の)シスになるよう、青字のように1位の炭素を指定する。
3位の2つの置換基(エチル基とメチル基)の一方のみを参照であるブロモ基との配置を指定することで、立体配置異性体を区別できる。(なお、この化合物における環の位置番号は、置換基のアルファベット順が優先して決められている。)
(解答例)
(a)
上のいずれで書いてもよい。水色の背景の左3点はいずれも互いに全く同じ構造を、黄色の背景の右の3点もいずれも互いに全く同じ構造を示す。左のものと右のものは、光学異性体である。(鏡に写してはじめて空間内で重ね合わせることができる。)
(b)
左右のいずれで書いてもよい。光学異性体は存在しない。
2つのメチル基が同じ方向を向いていることが cis- 体であるということだから、左の図のタイプで両方ともが手前(破線ではない楔型)、または、右の図のタイプで両方ともが上向きという答えも当然のことながら正解である。
(c)
左右のいずれで書いてもよい。(左右とも同じ構造である。)(a) と同様に光学異性体が存在するが、ここではその一方のみを示している。
(解答例)
2つのヒドロキシ基(-OH):いずれも破線の楔型の価標で示されているから、紙面に対して奥側に向かって結合している。どちらも同じ方向であるから、シスである。
2つの炭素鎖:末端がカルボキシ基となっている(構造式で上側の方の)炭素鎖は、破線の楔型の価標で示され、紙面に対して奥側に向かって結合していることを示す。これに対し、途中に水酸基を持つもう一方の(構造式で下側の方の)炭素鎖は、太線の楔型の価標で示され、紙面より手前側に出た結合となっていることを示す。2つの炭素鎖の結合の方向が逆であるから、トランスである。
(解答例)
(a) 2つのメチル基はともにシクロペンタン環のつくる平面に対して下方に位置している。したがって、
cis-1,2-dimethylcyclopentane
(b) ブロモ基はシクロブタン環のつくる平面より上方に位置し、メチル基も同平面よりも上方に位置している。したがって、
cis-1-bromo-3-methylcyclobutane
(解答例)
シクロプロパン分子中に、水素−水素重なり形の相互作用は6組ある。(ひとつの水素に対し、2つの隣接炭素上の水素と互いに重なり形相互作用するので、環の上で3組、下で3組ある。)
したがって、重なり形相互作用によるひずみエネルギーは、
6 × 4.0 kJ/mol = 24.0 kJ/mol
である。
これは、シクロプロパンの全環ひずみ 115 kJ/mol に対して 20.9 % である。
残りの79.1 % ( 115 − 24 = 91 kJ/mol)は、結合角のひずみによるものである。
(解答例)
1,2-dimethylcyclopropnane の C1-C2 結合の方向より見た Newman 投影式を次図に示す。
シクロプロパン環は、炭素上の置換基(水素、または、メチル基)がすべて重なり形配座となっている。上図を参考にしながら、分子中のすべての重なり形相互作用を数え、更に、問い 4.8 の計算から求められるような結合角歪みを考慮し、それぞれの歪みエネルギーの値を合計すると、次のようになる。
cis-1,2-dimethylcyclopropnane
水素−水素の重なり形相互作用 × 3 = 12.0 kJ/mol
水素−メチルの重なり形相互作用 × 2 = 12.0 kJ/mol
メチル−メチルの重なり形相互作用 × 1 = 11.0 kJ/mol
結合角のひずみによるもの(問い 4.8 で計算したシクロプロパンの場合と同じとする) 91 kJ/mol
以上の合計より、全ひずみエネルギー:126 kJ/mol
trans-1,2-dimethylcyclopropnane
水素−水素の重なり形相互作用 × 2 = 8.0 kJ/mol
水素−メチルの重なり形相互作用 × 4 = 24.0 kJ/mol
結合角のひずみによるもの(シクロプロパンと同じとする) 91 kJ/mol
以上の合計より、全ひずみエネルギー:123 kJ/mol
以上の比較から、trans- 体の方がより小さな歪みエネルギーをもち、したがって、より安定であることがわかる。
これは、ブタンの C2-C3 結合の周囲の回転により生じる2つの重なり形配座( 教科書 p94、図 3.9 参照)のうち、メチル基同士が重なるような配座の方が、メチル−水素の重なりを2組持つ配座よりも大きなエネルギーを持っていたことと類似した結果であるといえる。
(解答例)
平面形を仮定すると、シクロペンタン中には全部で10組の水素−水素の重なり形の相互作用が存在するから、
10 × 4.0 kJ/mol = 40.0 kJ/mol
の(重なり形相互作用に由来する)ねじれひずみが存在することになる。
これが折れ曲がりにより 26.0 kJ/mol まで軽減されたとすれば、35 % の軽減である。
環ひずみは、結合角のひずみと重なり形相互作用によるねじれひずみからなる。
この計算では、平面型でも、折れ曲がったあとでも、結合角のひずみ無視できると仮定している。これは、正五角形の内角が 108 度であり、sp3 混成炭素の結合角と近いためである。(教科書 108 ページ)
(解答例)
2つのメチル基がより離れている (a) の配座の方が安定である。
(少し詳しい解説)
C3 炭素を C2-C1-C4 の3つの炭素のつくる平面に対して、持ち上げる、または下げることによって2つの立体配座 (b) および (a) ができるものと考えよう。
この2つの立体配座について、シクロブタン環の C2-C1 軸(緑矢印の方向)に沿った Newman 投影図を書くと、次図のようになる。
C2-C1 が視線方向、奥側の青の破線(水平線)の方向が C1-C4 となる。赤の結合は、C2-C3 を表しているから、C3 を持ち上げた中央の立体配座では、メチル基同士が近づいており教科書の問題に与えられた図の(b)に、C3 を下げた右側の立体配座では、メチル基同士が遠ざかっており教科書の問題に与えられた図の(a)に、それぞれ対応している。
この C3 の上下の動きは、C2-C1 軸に沿った回転によって生じていることに注意しよう。(中央の図は C2-C1 軸が反時計回りに、右側の図は C2-C1 軸が時計周りに、それぞれ約30度ほどずつ回転させて生じたものである。)
メチル基と水素は重なり形の相互作用が小さくなるように、C2-C1 軸が回転し(その結果として C3 炭素が上がったり、下がったりして)これらの立体配座を達成しており「完全な重なり形ではない」。(教科書 p111、図 4.5)
このときに、上図、あるいは単純化して示しなおした次図からも判るように、C1 上のメチル基が隣接する炭素 C2 上の水素との間で持つ重なり形相互作用の大きさ(次図中の桃色の矢印の関係)は、いずれの立体配座においても同じである。
しかし、立体配座 (b)(図、中央)では、図中、赤で示した C2-C3 結合(水色の丸)に注目すると、(奥側の炭素上のメチル基)C1-CH3 結合(緑色の丸)と (水平な青の破線方向の)C1-C4 結合(緑色の丸)の間にはさまれており、C1-CH3 結合との間に Gauche 的な相互作用を生じている。
これが、立体配座 (a) よりも (b) の方が不安定となっている理由である。
(解答例)
図、左の2つが環の反転により生じる配座異性体。上の配座での水酸基がアキシャル位、下の配座での水酸基はエカトリアル位にある。
環の反転は、C1 を下げ、C4 を上げるように動かしている。環の反転では、置換基の環の上下の位置の入れ替えはおきない。環の面の上方に水酸基をもつシクロヘキサノールについて、炭素の番号をつけて環の反転の前後での対応を示してある。
また、下方、左の図は、反転の結果生じた中央の図を、アキシャル方向の周囲に60度回して表示した(視点を60度ずらして表示した)ものである。また、右の立体配座では、水酸基が環の下方になっているが、これは、環全体の上下(表裏)が逆になるように、C1-C4軸に沿って回転させたもので、水酸基は同じエカトリアル位であるが、環の面の下方になっていることが判る。
視点を変えたり、空間の中で平行移動や回転を加えるだけの操作でもとの形になるから、これらは同一であるものとみなされる。ただし、これらの操作を意識していないと、2つ以上の置換基があるようなシクロヘキサン環の反転で、実際に生じることができないようなものを書いてしまうこともあり得るので注意しないといけない。(問い 4.14 や、 問い 4.18 ヒントなども参照すること。)
(解答例)
図、上段左は、1-methyl 基と 4-methyl 基の位置の組み合わせが(下、上)であるが、右図では、C1-C4 軸に沿った回転(または、環に垂直な軸に沿った回転)により(上、下)となっているが、左右とも同じものである。これらにおいては、2つのメチル基はともにエカトリアル位にある。
これに対し、これを環反転させた図下段では、1-methyl 基と 4-methyl 基の位置の組み合わせが(下、上)のままであるが、2つのメチル基ともアキシャル位にある。
(解答例)
環の反転の前後の構造を次に示した。ただし、下図のうち「光学異性体」として示したものは、環の反転によっては生じないものであることに注意すること。これは、環に対する上下が入れ替わってしまっているからである。4.12 や 4.13 で問われたような分子は、上下が入れ替わるようにシクロヘキサン環の面そのものを回転させても、置換基の位置の対称性から区別できないため、置換基の位置が環の上下で入れ替わることが許されるように見えてしまっていたのに対し、この問いの化合物や、1,3位に異なる置換基をもつシクロヘキサン環のように非対称な構造の化合物ではそのような扱いができないからである。
反転前 | 反転後 | 光学異性体 | |||
---|---|---|---|---|---|
1-緑 | 下 | アキシャル | エカトリアル | 上 | エカトリアル |
2-赤 | 下 | エカトリアル | アキシャル | 上 | アキシャル |
4-青 | 下 | エカトリアル | アキシャル | 上 | アキシャル |
ただ単に、環の反転でアキシャルとエカトリアルが入れ替わる、とだけ考えると、右のような光学異性体を描くことになってしまう。これは、環の反転によって生じる構造とは、空間内の平行移動や回転によって重ね合わせることは不可能である。 | |||||
反転後 | |||||
下 | エカトリアル | ||||
下 | アキシャル | ||||
下 | アキシャル | ||||
変則的だが、このような書き方もできる。環の反転(環を構成する炭素の作る平均的な面よりも上にあった炭素(C2, C4, C6)は環の反転により下に、下にあった炭素(C1, C3, C5)は上にくる)を、同じ形のいす形シクロヘキサンの、炭素番号を一つずらして表現している。なお、環の反転で置換基の結合の上下は変化せず、アキシャルとエカトリアルが入れ替わっている。 |
(解答例)
ヒドロキシ基がアキシアル位にある場合、上図左のように2組の 1,3-ジアキシアル相互作用が存在する。そのため、2.1 kJ/mol × 2 = 4.2 kJ/mol の歪みをもつ。ヒドロキシ基がエクアトリアル位にある場合は、歪みエネルギーを持たないから、エネルギー差は 4.2 kJ/mol である。
(解答例)
1-置換シクロヘキサンの、C1-C2(および C5-C4)軸方向からみた Newman 投影式を、置換基が水素およびシアノ基の場合について示した。シアノ基は直線状の構造(R-C-N の結合角が180度)であるから、図のようにまっすぐに伸びており、その結果として 1,3-ジアキシャル相互作用は小さい。
これを横、および上から見た形で表すと次のようになる。
次図は、アキシアル配座にある 1-cyanocyclohexane および 1-methylcyclohexane を space filling 形式(空間充填モデル)で表示した例。(ヒントにリンクした3次元モデルを、右クリック → style → scheme → CPK spacefill にして、(または、右クリック → style → atoms → 75% van der Waals にして、)対応する表示に変換することができる。)
(発展)
表 4.1(教科書 p 119)より、1,3-ジアキシアル相互作用の大きさは、メチル、エチル、イソプロピルで(順に大きくなるが)ほぼ同じであるのに対し、t-ブチル基では急に大きくなる。
以下には、メチル基のもつ 1,3-ジアキシアル相互作用についての図を示す。
1,3-ジアキシャル相互作用の本質は、ゴーシュブタンの立体ひずみと同じ(教科書 p119、図4.14)であり、1-置換シクロヘキサンの、C1-C2(および C5-C4)軸方向からみた Newman 投影式(上図)で示されるような、C1-置換基と、C3-H の間のゴーシュ相互作用である。
1-置換シクロヘキサンの、C1-C2(および C5-C4)軸方向からみた Newman 投影式を、置換基がエチル基、イソプロピル基、t-ブチル基と変化させて示した。
この図を比較すると、置換基が t-ブチル基の時以外は、ゴーシュ相互作用の大きさが、ほぼ同じであることが予想できる。
また、C1-置換基軸の方向から(すなわち、シクロヘキサンの環の平面に(ほぼ)垂直な方向から)眺めた時の、1,3-ジアキシャル相互作用の様子を模式的に示した。ただし、白丸は、3位、および5位のアキシャル水素である。置換基は、左より、水酸基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基である。
なお、水酸基では、酸素上の(水素より小さな)孤立電子対が3位、および5位のアキシャル水素と反発するだけであるのに対し、メチル基、エチル基、イソプロピル基では、置換基の中の C-H 結合が、また、t-ブチル基では、置換基の中の C-CH3 結合が、それぞれ3位、および5位のアキシャル水素と反発する。
これらの説明と、教科書 p119 表4.1 の値との対応を確認しておくこと。
(解答例)
表より、1-bromocyclohexane のもつ立体ひずみは、2 × 1.0 kJ/mol = 2.0 kJ/mol となる。
これを、教科書 p118 の図 4.12 にあてはめると、(下巻、付録D、p1281 に用意された解答とは若干ずれがあるが)臭素がアキシャル位にくる配座異性体の割合(不安定な異性体と書かれた赤い線から読む)は、およそ 25 〜 27 % となる。
(発展)で述べた計算式を用いるなら、300 K において、>臭素がアキシャル位にある配座異性体の割合は、 31 % と計算される。
1 / ( 1 + e(2.0 / 2.5)) = 0.310
(発展)
図 4.12(教科書 p118) は、自分で関数電卓で値を計算することができる。
「物理化学」で習うように、並進や回転などの1自由度あたりに分配されるエネルギーは RT/2 (J/mol) である。気体定数 R= 8.314 J/Kmol の値を持つから、室温( T〜300 K )で分子の持つエネルギーのおよその目安として RT を計算すると、およそ 2.5 kJ/mol となる。
一方、ボルツマン分布によると、エネルギー差 ΔE の2つの状態間の占有度の比は e−(ΔE / RT)で与えられる。
すなわち、エネルギー差が 2.5 kJ/mol であるような二つの状態の間で平衡が成立しているなら、上の状態には下の状態に比べて 1/e 倍しか分布しないことを示す。このとき、全体に対する占有率は(1/(1+e)=)27%。以下、同様に計算すれば良いから、一般式として表しておくと、平衡にある状態間のエネルギー差が ΔE であるとき、300 K の温度において、その少ない方の存在割合は、 1 / ( 1 + e(ΔE / RT)) である。
なお、この計算式を用いたときの 300 K における種々の一置換シクロヘキサンのアキシャル体の存在割合の計算結果を示しておく。
substituent | steric strain / kJ mol-1 | アキシャル体の存在割合 / % |
---|---|---|
-H | 0 | 50.0 |
-F | 0.5 × 2 | 40.1 |
-Br | 1.0 × 2 | 解答例参照 |
-OH | 2.1 × 2 | 15.7 |
-CH3 | 3.8 × 2 | 4.6 |
-CH2CH3 | 4.0 × 2 | 3.9 |
-CH(CH3)2 | 4.6 × 2 | 2.5 |
-C6H5 | 6.3 × 2 | 0.64 |
-C(CH3)3 | 11.4 × 2 | 0.011 |
なお、「十進BASIC」に、以下のプログラムソースを貼り付けて実行してみてください。
DO
INPUT PROMPT "2つの配座のエネルギー差 (kJ/mol)を入力してください。 ": e
PRINT "2つの配座のエネルギー差が "; e ; "kJ/mol のとき、"
PRINT "室温で、不安定な配座をとる分子の割合は、"
PRINT ROUND (1/(1+EXP(e/2.5))*100,2) ;"% です。"
PRINT
LOOP
END
(解答例)
下図には、置換基と 1,3-ジアキシャル相互作用する水素を書きこんである。
stable conformer | less stable conformer | ratio | stable conformer の置換基の上下を入れ替えたもの。 | ||
---|---|---|---|---|---|
(a) trans-1-chloro-3-methylcyclohexane | |||||
2.0 kJ/mol | 7.6 kJ/mol | ΔE = 5.6 kJ/mol 90.4 : 9.6 | |||
(b) cis-1-ethyl-2-methylcyclohexane | |||||
7.6 kJ/mol + 3.8 kJ/mol* |
8.0 kJ/mol + 3.8 kJ/mol* |
ΔE = 0.4 kJ/mol 54.0 : 46.0 | |||
(c) cis-1-bromo-4-ethylcyclohexane | |||||
2.0 kJ/mol | 8.0 kJ/mol | ΔE = 6.0 kJ/mol 91.7 : 8.3 | |||
(d) cis-1-tert-butyl-4-ethylcyclohexane | |||||
8.0 kJ/mol | 22.8 kJ/mol | ΔE = 5.6 kJ/mol 99.7 : 0.3 |
(解答例)
化合物名 : 1-chloro-2,4-dimethylcyclohexane
1,3-ジアキシャル相互作用 | |||
---|---|---|---|
反転前 | 置換基 | 反転後 | |
アキシャル | 1-chloro | 下 | エカトリアル |
2 × 1.0 kJ/mol | − | ||
エカトリアル | 2-methyl | 下 | アキシャル |
− | 2 × 3.8 kJ/mol | ||
アキシャル | 4-methyl | 上 | エカトリアル |
2 × 3.8 kJ/mol | − | ||
1,3-ジアキシャル相互作用によるひずみエネルギーの合計 | |||
9.6 kJ/mol | ΔE = 2.0 kJ/mol | 7.6 kJ/mol | |
1-chloro と 2-methyl の間の gaushe 相互作用 | |||
1.0 kJ/mol* | ΔE = 0.0 kJ/mol | 1.0 kJ/mol* |
(解答例)
cis-decaline (上)と trans-decaline (下)の構造を示す。左右とも同じものを表しており、左図、矢印の方向からの視点で見たものが右図となる。
橋頭位の水素は赤い結合で表した。これがシスになっているものが cis-decaline 、トランスになっているものが trans-decaline である。
ここで、黒で示したシクロヘキサン環を中心に考え、これに結合している置換基についてまとめておく。
C1−Ha | C1−CH2(C10) | C6−Hb | C6−CH2(C7) | |
cis-decaline | 上 | 下 | 上 | 下 |
アキシャル | エカトリアル | エカトリアル | アキシャル | |
アキシャル位の置換基は水素なので、1,3-ジアキシャル相互作用をもたない。 | アキシャル位の置換基は、青で示した環の一部をなすメチレン( -CH2- )なので、1,3-ジアキシャル相互作用がある。 | |||
trans-decaline | 上 | 下 | 下 | 上 |
アキシャル | エカトリアル | アキシャル | エカトリアル | |
アキシャル位の置換基は水素なので、1,3-ジアキシャル相互作用をもたない。 | アキシャル位の置換基は水素なので、1,3-ジアキシャル相互作用をもたない。 |
左がトランス体、右がシス体。橋頭位の水素をそれぞれ確認すること。 | |
左がトランス体、右がシス体。 上の列の写真とは違う視点から見ているが、橋頭位の水素を確認すると、上の列と同じものであることが確認できる。 | |
(解答例)
(a) cis-1-ethyl-3-methylcyclopentane
(b) 1,1,4-trimethylcyclohexane
なお、(a) について、相対的なシス−、トランス−ではなく、立体の絶対表示(9章で学ぶ)を用いるなら、
(1S,3R)-1-ethyl-3-methylcyclopentane
となる。
(解答例)
trans-1-chloro-3-methylcyclohexane
置換基 | 1-chloro | 3-methyl |
環平面の | 下 | 上 |
a/e | エカトリアル | アキシャル |
置換基 | 1-chloro | 3-methyl |
環平面の | 下 | 上 |
a/e | アキシャル | エカトリアル |
(解答例)
環の反転によっても、置換基の上下は入れ替わらない。従って、
置換基の色 | 2位-赤 | 4位-黄 | 1位-青 |
環平面の上下 | 上 | 上 | 上 |
環反転前 a/e | アキシャル | アキシャル | エカトリアル |
環反転後 a/e | エカトリアル | エカトリアル | アキシャル |
(解答例)
α-glucose | β-glucose |
(発展)
問い 4.17 の発展の項に、エネルギー差と存在比の関係式を示した。(または、教科書 p118、図 4.12 を参照。)この式によれば、300 K においては、エネルギー差は、
1 / ( 1 + e(ΔE / RT)) = 0.36 より、
e(ΔE / RT) = (1/0.36)-1 = 1.78
ΔE / RT = ln(1.78) = 0.577
∴ ΔE = 1.44 kJ/mol
と求めることができる。
この見積もりは、構造から予測されるエネルギー差(水酸基による 1,3-ジアキシアル相互作用の大きさについては、教科書 表 4.1 を参照)の 4.2 kJ/mol に比べてかなり小さい。逆に言えば、4.2 kJ/mol のエネルギー差があれば、グルコースの少ない方の異性体は、室温付近での存在の割合が 5% 以下でないといけないことになる。
このずれは、「アノマー効果」によって説明される。すなわち、グルコースのように6員環のメンバーのひとつが酸素など孤立電子対を持つ原子である場合、その隣接位の水酸基がアキシアル位にある時のみ特別に安定となる効果をもつ。この効果は、水酸基がエクアトリアル位にある場合には生じない。
詳細は「立体電子効果」について学習すること。
外部リンク:http://ja.wikipedia.org/wiki/立体電子効果
(解答例)
まず、不飽和度を計算すると1となる。したがって、環は1つのみで多重結合は持たない。
環の部分が5員環、4員環、3員環の順に構造を整理すると、次のようになる。
左より順に
cyclopentane
methylcyclobutane
ethylcyclopropane
1,1-dimethylcyclopropane
1,2-dimethylcyclopropane
ただし、1,2-dimethylcyclopropane は次図のような3種類の立体異性体に分けることができる。
左より、
cis-1,2-dimethylcyclopropane
trans-1,2-dimethylcyclopropane
trans-1,2-dimethylcyclopropane
中央と右の trans-体を区別するためには、立体の絶対表示(9章)を用いる必要がある。
中央:(1R,2R)-1,2-dimethylcyclopropane
右:(1S,2S)-1,2-dimethylcyclopropane
(cis-体は、回転操作によって2つのメチル基が(上、上)の組み合わせを(下、下)にすることができるので、光学異性体ではない。)
(解答例)
1,2-dibromocyclopentane
の構造異性体のうち、位置配置異性体は以下の3つ。※
1,1-dibromocyclopentane,
cis-1,3-dibromocyclopentane,
trans-1,3-dibromocyclopentane
また、骨格異性体※には、シクロアルカンの構造を持つものと、二重結合をもつアルケンがあり得る。そのうちに2例を以下に示す。
1,2-dibromo-1-methylcyclobutane,
2,4-dibromo-2-pentene
註※:
4.25 と同様に、trans-1,3-dibromocyclopentane は光学異性体を持つ。(ここでは構造は省略。)
なお、trans-1,2-dibromocyclopentane は、cis-1,2-dibromocyclopentane の「構造異性体」ではない。ただし、cis-1,3-dibromocyclopentane,
trans-1,3-dibromocyclopentane はともに、cis-1,2-dibromocyclopentane に対しては「構造異性体」である。したがって、それぞれ別個に解答として可としてよい。また、骨格異性体も構造異性体の一種であるから、解答として可としてよい。
(解答例)
cis-1,3-dimethylcyclobutane
(左右とも同じ構造を表す表記である。)
なお、1,3-dimethylcyclobutane においては、trans-体 でも、4.25、4.26 の解説で触れたような光学異性体(立体異性体のひとつ)は存在しない。
(解答例)
アキシアル位。
(解答例)
シクロヘキサンの環を構成する炭素に1から6までの番号を振り、それぞれに結合した水素(環の上方、および環の下方)について、ある「いす形配座」におけるアキシャルとエカトリアルの関係を表にまとめると、以下のようになる。
反転前 | 反転後 | ||
---|---|---|---|
1位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
下 | アキシャル | エカトリアル | |
2位 | 上 | アキシャル | エカトリアル |
下 | エカトリアル | アキシャル | |
3位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
下 | アキシャル | エカトリアル | |
4位 | 上 | アキシャル | エカトリアル |
下 | エカトリアル | アキシャル | |
5位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
下 | アキシャル | エカトリアル | |
6位 | 上 | アキシャル | エカトリアル |
下 | エカトリアル | アキシャル |
(解答例)
4.29 の解答例に示したのと同じ表で考えること。
trans-1,2-二置換シクロヘキサンでは、一方の置換基が環の上であれば、もう
一方の置換基は環の下に結合しているから、いす型の立体配座をとるとき、必ず2つの置換基はともにアキシャルであるか、またはともにエカトリアルになる。これは、環の反転によっても(アキシャルとエカトリアルが相互に変化するだけで)変わらない。
(解答例)
cis-体は、2つの置換基が(アキシャル、アキシャル)または、(エカトリアル、エカトリアル)の位置に来るのに対し、trans-体では、環の反転があっても常に(アキシャル、エカトリアル)の組み合わせになる。これらの配座の中で一番安定なのは、立体的に大きな置換基がすべてエカトリアル位にある配座だから、2つの置換基がどちらもエカトリアルに来ることのできる cis-体の方が trans-体にくらべて安定である。(2つの置換基が両方ともアキシャルになる配座は trans-体よりも不安定であるが、より安定な配座であるジエカトリアルの配座のみをとるので考慮に入れなくてよい。)
4.29 の解答例で示した表の一部を抜粋する。
反転前 | 反転後 | ||
---|---|---|---|
1位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
3位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
反転前 | 反転後 | ||
---|---|---|---|
1位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
3位 | 下 | アキシャル | エカトリアル |
(解答例)
2つの置換基がともにエカトリアル位にくることができるのは、trans-体であるから、trans-体のほうがより安定である。
反転前 | 反転後 | ||
---|---|---|---|
1位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
4位 | 上 | アキシャル | エカトリアル |
反転前 | 反転後 | ||
---|---|---|---|
1位 | 上 | エカトリアル | アキシャル |
4位 | 下 | エカトリアル | アキシャル |
(解答例)
1,2-dimethylcyclobutane の立体配置と、それに対応する立体配座を、Newman 投影式で示した。
左の立体配置は、cis-体である。右の2つは、trans-体であるが、異なる立体配座をもつ。これらの中では、2つのメチル基がより遠くなった、trans-体のとる中央に示された立体配座が最も安定である。
1,3-dimethylcyclobutane の立体配置と、それに対応する立体配座を示した。
左の2つは、cis-体のもので、環の反転により生じる配座異性体である。右の2つは、trans-体の立体配座であるが、どちらも同じである(上下を入れ替えるように回転させると、重ねあわせることができる)。これらの中では、2つのメチル基がより遠くなった、cis-体のとる左から2番目の立体配座が最も安定である。
なお、次に示す二つのtrans-1,2-dimethylcyclobutane は、互いに光学異性体であるので、厳密には、この二つは互いに重ねあわせることができない。(環の反転などによっても、互いに入れ替わらない。)
(解答例)
二つの立体配座異性体は、環の反転に伴い、次の表のように置換基のアキシャルとエカトリアルが入れ替わるから、下図のようになる。
置換基 | 反転前 1 | 反転後 2 | |||
---|---|---|---|---|---|
光学異性体 A | 1-chloro group 環の上 |
エカトリアル | アキシャル | ||
2-methyl group 環の上 | アキシャル | エカトリアル | |||
立体ひずみ | 3.8 kJ/mol × 2 | 1.0 kJ/mol × 2 | |||
1.0 kJ/mol* | 1.0 kJ/mol* | ||||
光学異性体 A と B は、環の反転では入れ替わらない。 | |||||
光学異性体 B | 1-chloro group 環の下 |
アキシャル | エカトリアル | ||
2-methyl group 環の下 | エカトリアル | アキシャル | |||
立体ひずみ | 1.0 kJ/mol × 2 | 3.8 kJ/mol × 2 | |||
1.0 kJ/mol* | 1.0 kJ/mol* |
(発展)
(4.18 のヒントも参照)
いす形のシクロヘキサン環骨格の書き方には、左が下がるタイプと右が下がるタイプがあり、環の反転ではこの二つが互いに入れ替わる。(と、同時にアキシャル位とエカトリアル位が入れ替わる。)
従って、このタイプを入れ替えずにアキシャル位とエカトリアル位の置換基だけを入れ替えると、相互に変換不可能な光学異性体を描くことになってしまう。
つまり、 (A-1)
は、環の反転によって、 (B-2)
ではなく、 (A-2)
となる。
(A-2) は、
と描くこともできる。( (A-1) の配座異性体である。構造を比較せよ。)
(解答例)
二つの立体配座異性体は、環の反転に伴い、次の表のように置換基のアキシャルとエカトリアルが入れ替わるから、下図のようになる。
置換基 | 反転前 1 | 反転後 2 | |||
---|---|---|---|---|---|
光学異性体 A | 1-chloro group 環の上 |
エカトリアル | アキシャル | ||
2-methyl group 環の下 | エカトリアル | アキシャル | |||
立体ひずみ due to (upper) 1,3-diaxial, and (lower) gauche* interactions, respectively. | 0 kJ/mol | 1.0 kJ/mol × 2 + 3.8 kJ/mol × 2 | |||
1.0 kJ/mol | 0 kJ/mol | ||||
光学異性体 A と B は、環の反転では入れ替わらない。 | |||||
光学異性体 B | 1-chloro group 環の下 |
アキシャル | エカトリアル | ||
2-methyl group 環の上 | アキシャル | エカトリアル | |||
立体ひずみ due to (upper) 1,3-diaxial, and (lower) gauche* interactions, respectively. | 1.0 kJ/mol × 2 + 3.8 kJ/mol × 2 | 0 kJ/mol | |||
0 kJ/mol | 1.0 kJ/mol |
(解答例)
環の命名法とは異なった規則により(酸素には番号を振らずに)炭素骨格に1〜6の番号を振っている。
赤で示した水酸基はアキシャルに、それ以外の置換基はすべてエカトリアルにくるようにする。
このような条件を満たすものは、以下の2通りが考えられる。いずれも正解である。(訂正)どちらも β-ガラクトースではあるが、教科書に与えられた構造式と合致するのは、このうちの右図のものである。
左右の2つは互いに光学異性体の関係にある。下の表を見よ。酸素の位置を好きな位置においたとしても、それぞれの置換基の結合方向が環に対して上か下かで分類すると、この2種類のいずれかと同じであることが判るはずである。なお、天然に多く存在しているのは、青い破線よりも右側の構造のものである。
左の立体異性体(L体) | 右の立体異性体(D体) | |
---|---|---|
1位 ヒドロキシ基 | 下 | 上 |
2位 ヒドロキシ基 | 上 | 下 |
3位 ヒドロキシ基 | 下 | 上 |
4位 ヒドロキシ基 | 下 | 上 |
5位 ヒドロキシメチル基 | 下 | 上 |
(発展)
糖類の構造と名称に関しての系統的な学習は、教科書25章で行う。
ガラクトースは、乳糖(ラクトース)の成分。乳糖はラクターゼという酵素により加水分解されて、ガラクトースとグルコースを与える。
(解答例)
可能な2つのいす型配座を書くと下の表のようになる。ただし、環の番号を振る回り方とそれぞれの置換基が結合する方向(上下)は、入れ替わらないように書いてあることに注意せよ。
なお、次図の2つは、置換基が結合する方向(上下)が入れ替わっているように見えるが、完全に同一である。(同じものを、2、5位の炭素を結ぶ軸に沿って180度回転させたもの、つまりひっくり返したもの。)これは、環の番号を振る回り方が逆になっていることに対応する。
すべての置換基がエカトリアル位にくる方のいす型配座(下図、右)の方が安定である。
1-hydroxy | 上 | 上 |
アキシャル | エカトリアル | |
2.1 kJ/mol*1 > 3.8 kJ/mol*2 | > 2.1 kJ/mol*5 | |
2-isopropyl | 下 | 下 |
アキシャル | エカトリアル | |
2 × 4.6 kJ/mol*3 | − | |
5-methyl | 上 | 上 |
アキシャル | エカトリアル | |
3.8 kJ/mol*4 | − | |
strain | > 18.9 kJ/mol | > 2.1 kJ/mol |
(発展)
慣用名としてメントールを用いる際には、その慣用的な番号も別に存在する。メチル基の根元の炭素 C1とし、水酸基の根元 C3、イソプロピル基の根元 C4 となるように環を構成する炭素に6まで番号を振り、メチル炭素をC7、イソプロピル炭素を C8からC10となるように番号を振る。
(解答例)
一番下に示した構造図のうち、1 が教科書の問い 4.37 に示された構造である。したがって、 2 〜 4 の3つがこたえ。( 2 の代わりに 2' などでも良い。)
3つの置換基の間にある2つ*のシス、トランスの立体配置の組み合わせが異なる4種が互いに立体配置異性体である。これらをすべて書き出すためには、シクロヘキサン環上の一つの置換基を固定して考え、残りの2つの置換基の立体配置(シスまたはトランス)を入れ替えた組をつくるとよい。
註*:3つ置換基があれば、置換基どうしの関係は3箇所存在するが、2つが決まれば残りの1つは自動的に決まる。
ここでは、便宜上、2位にあるイソプロピル基を固定することにする。(他の2つのどちらかを固定してもよい。)
2位のイソプロピル基を環の下方に固定して派生させた異性体4種。
2-isopropyl 基 | 1-hydoroxyl 基 | 5-methyl 基 | |
menthol 1 | 下 | 上 | 上 |
− | trans | trans | |
2 | 下 | 上 | 下 |
− | trans | cis | |
3 | 下 | 下 | 上 |
− | cis | trans | |
4 | 下 | 下 | 下 |
− | cis | cis |
2-isopropyl 基 | 1-hydoroxyl 基 | 5-methyl 基 | |
1' | 上 | 下 | 下 |
− | trans | trans | |
2' | 上 | 下 | 上 |
− | trans | cis | |
3' | 上 | 上 | 下 |
− | cis | trans | |
4' | 上 | 上 | 上 |
− | cis | cis |
(発展)
註※: 問い 4.4 の発展の項も参照すること。
単環化合物の立体配置異性(シス−トランス異性)で、3つ以上の置換基のあるときは、位置番号の最小の置換基を基準とし、その番号に reference の頭文字 r をつけ、他の置換基はこれと比較して c-、t- の記号で示す。(この化合物における位置番号のつけ方は、4.37 のヒントも参照のこと。)
出典「有機化合物命名のてびき」(化学同人)
(解答例)
赤−青 | トランス配置 |
赤−緑 | シス配置 |
赤−黒 | トランス配置 |
青−緑 | トランス配置 |
青−黒 | シス配置 |
緑−黒 | トランス配置 |
(解答例)
2つ。
シクロヘキサン環を120度回転させると、1位、3位、5位は互いに重なる位置にあり、すべて同じメチル基がついているから、立体配置異性体については、環の構成炭素がなす平均的な平面よりも上方に置換したメチル基の数に注目して3個、2個、1個、0個と分類すると、下図のようになる。ここで、面の上方、下方には絶対的な区別はないから、破線の左の2つと、破線の右の二つは互いに区別されない。(環の上下をひっくり返すと重なる。)
(解答例)
以下の表のとおり。一番右のカラムが、エネルギーの高い状態、すなわち置換基がアキシャル位にくるものが全体に占める割合。
substituent | strain due to 1,3-diaxial interaction, ΔE | e( ΔE / RT ) |
| |||||||||
(a) R = CH(CH3)2 | 2 × 4.6 kJ/mol | 39.7 | 2.5 % | |||||||||
(b) R = F | 2 × 0.5 kJ/mol | 1.5 | 40 % | |||||||||
(c) R = CN | 2 × 0.4 kJ/mol | 1.4 | 42 % |
(解答例)
(a) 一方はアキシャルで、もう一方はエカトリアル。
(b) 一方はアキシャルで、もう一方はエカトリアル。
(c) 両方ともアキシャル、または、両方ともエカトリアル。
(d) 一方はアキシャルで、もう一方はエカトリアル。
(e) 両方ともアキシャル、または、両方ともエカトリアル。
(f) 両方ともアキシャル、または、両方ともエカトリアル。
(解答例)
図左のジエカトリアル配座は、1,3-ジアキシャル相互作用によるひずみを持たないのに対し、図右のジアキシャル配座では、水素−メチル間の 1,3-ジアキシャル相互作用が2組と、メチル−メチル間の 1,3-ジアキシャル相互作用をあわせもつため、おおきなひずみエネルギーを持つ。
(解答例)
1,3-dimethylcyclohexane のジアキシャル配座では、4.43 の解答例で描いた図のように、水素−メチル間の 1,3-ジアキシャル相互作用が2組(青、矢印)と、メチル−メチル間の 1,3-ジアキシャル相互作用(青、太い矢印)とがある。水素−メチル間の 1,3-ジアキシャル相互作用は、一組につき 3.8 kJ/mol であるから、以下の計算により、メチル−メチル間の 1,3-ジアキシャル相互作用の大きさが求められる。
23 kJ/mol − ( 2 × 3.8 kJ/mol ) = 15.4 kJ/mol
なお、この値は、t-butyl 基( -C(CH3)3 )と水素の間の 1,3-ジアキシャル相互作用よりも大きいことがわかる。
(発展)
以下、ヒントにも貼った3次元分子模型を、SpaceFilling で表し、アキシアル方向から見たもの。
1-methylcyclohexane
1-tert-bytylcyclohexane
1,3-dimethylcyclohexane
(解答例)
下図は、4.43 の解答例( 1,3-dimethylcyclohexane のもの)とも見比べてみること。
図からあきらかなように、1,1,3-trimethylcyclohexane の環の反転伴う2つのいす形配座では、環の反転にかかわりなく1位の2つのメチル基はアキシアル位とエカトリアル位にあり、また、3位のメチル基はエカトリアル位にあるものと、3位のメチル基がアキシャル位にあるものとがある。
3位のメチル基がエカトリアル位にあるもの(上図、左)
2組の水素−メチル基間の 1,3-ジアキシャル相互作用があるため、ひずみエネルギーは、
2 × 3.8 kJ/mol = 7.6 kJ/mol である。
3位のメチル基がアキシャル位にあるもの(上図、右)
2組の水素−メチル基間の 1,3-ジアキシャル相互作用、および
メチル基−メチル基間の 1,3-ジアキシャル相互作用があるため、ひずみエネルギーは、
2 × 3.8 kJ/mol + 15.4 kJ/mol = 23.0 kJ/mol である。
これら2つの配座で比較すると、3位のメチル基がエカトリアル位にある方がより安定である。また、これらの間のエネルギー差 ΔE は、15.4 kJ/mol であるから、4.41 と同様の計算を行うと、より不安定な配座である3位のメチル基がアキシャル位にある方の配座は全体の中の 0.21 % を占めるに過ぎないことが求められる。
(解答例)
trans-decaline は分子内に 1,3-ジアキシャル相互作用を持たないが、cis-decaline では、黒で描いたシクロヘキサンから結合している青の環を構成している CH2 のように、アキシャル位にくる置換基があるとみなせるから、アキシャル水素との間に 1,3-ジアキシャル相互作用を持つ。
黒で描いた環を中心に考えると、アキシャル位の青い CH2 −ピンク水素の2組の 1,3-ジアキシャル相互作用が、また、青で描いた環を中心に考えても同じようにアキシャル位の黒い CH2 −緑の水素の2組の 1,3-ジアキシャル相互作用がある。ところで、図からわかるようにひとつは重複して数えているからこれを考慮すると、総合して3組の 1,3-ジアキシャル相互作用がある(下の写真を用いた解説も参照してください)ので、
3 × 3.8 kJ/mol = 11.4 kJ/mol の 1,3-ジアキシャル相互作用に由来するひずみエネルギーをもつ。
trans-decaline
cis-decaline
橋頭位の水素は赤い結合で表した。
シスデカリンの3組の1、3−ジアキシャル相互作用について、分子模型写真を用いて以下に説明します。
シスデカリンの分子模型。 | 床についているシクロヘキサン環(黄緑の楕円)に対し、アキシャル方向の置換基(もうひとつの環の一部)を、赤で示した。このアルキル基について、赤矢印で示したような 1、3-ジアキシャル相互作用が存在する。 |
上段の右写真を90度左に回転させた。 | もうひとつのシクロヘキサン環(再度、黄緑の楕円出示した)に対し、アキシャル方向の置換基(はじめの環の一部)を、青で示した。このアルキル基について、青矢印で示したような 1、3-ジアキシャル相互作用が存在する。 |
中段の右写真の矢印を、水素間の線で描き直すとこうなります。 | 別の視点から見たもの。 |
(発展)
1,2-二置換シクロヘキサンにおいて、その2つの置換基がジアキシャルでない場合には、置換基間の gauche 相互作用も存在する。しかし、cis-、trans-デカリンのいずれにおいてもこの相互作用の大きさは同じであるから、この2つの間の比較をする場合には無視しても良い。
(解答例)
trans-decaline
青で示した方の環を構成する2つのメチレン( -CH2- )(青C3、青C6)がともに黒のシクロヘキサン環のアキシャル位にあるとき、残り2つの炭素(青C4、青C5)だけではこの2つのメチレンの間をつなぐことができない。(結合角が109.5度であることを思い出すこと。)
従って、トランスデカリンの一方のシクロヘキサン環に接した2つのメチレンは必ずともにエカトリアル位になければならない。このため、反転することができない。
cis-decaline
シスデカリンは図のように容易に反転させることが可能である。
(解答例)
左はcis-bicyclo[4.1.0]heptane について、右はtrans-bicyclo[4.1.0]heptane について描いたものである。
まずシクロヘキサン部分をいす形にした配座で描く(上段)と、C1-C6 軸に沿って見た時、この2つの炭素から出ている置換基はねじれ型になることになる。ところが、C1 と C6 の両方から C7 のメチレンへ結合しているから、青で描いた矢印のような回転(C1-C6 軸のまわりのねじれ)により、重なり形配座になる必要がある。
C1-C6 軸について重なり形をとるように描いたとき、左の cis-bicyclo[4.1.0]heptane では、6員環の部分に無理を加えなくてよい。そのため、C1-C6 に結合している2つの水素がきれいに重なり形になっている様子が見てとれる。
ところが、右の trans-bicyclo[4.1.0]heptane では、C1-C6 軸について重なり形とするためには、C2-C1-C6-C5 の二面角が120度をとらないといけないので、6員環部分に非常に大きなひずみが生じる。6員環を環の面に垂直な方向から見たときにもその歪みがわかるし、上図のように、C1-C6 に結合している2つの水素も(本来重なり形になるはずなのに、完全には)重なっていない。これは、二面角が120度になるべき C2-C1-C6-C5 が、6員環の一部であるという要請により、やや小さな角度を取ろうとすることによる歪みである。
このように、bicyclo[4.1.0]heptane は、トランス体よりもシス体の方が安定である。
PM3法で安定化した分子模型を3次元モデルのリンクを示す。上の Newman 投影図と対応させながら立体的な様子を確認すること。
シス体
トランス体
(発展)
二環系化合物の命名は以下のように考える。
1) 2つの橋頭炭素の間にある炭素の数を、3本の橋について数える。この数を大きい順にならべたものが ” [a.b.c] ” の部分である。「ビシクロ」と、「全体の炭素数と同じアルカンの名称」の間にこれらの数字をはさむ。←( 数字と数字の間は、コンマではなく、ピリオドであることに注意せよ。 )
2) 番号の付け方は、2つの橋頭炭素のうちの一方を1とし、次の一筆書きの順に炭素に番号を振る。すなわち、一番長い橋を渡り反対側の橋頭炭素にいく。次に長い橋を渡りはじめの橋頭炭素に来たのち、最後の一番短い橋を渡る。
(解答例)
のように番号を振るとする。
置換基 | 立体配座−1 | 立体配座−2 | |
---|---|---|---|
1-OH | 上 | エカトリアル | アキシャル |
2-OH | 上 | アキシャル | エカトリアル |
3-OH | 上 | エカトリアル | アキシャル |
4-OH | 下 | エカトリアル | アキシャル |
5-OH | 上 | エカトリアル | アキシャル |
6-OH | 下 | エカトリアル | アキシャル |
(発展)
置換基の位置、種類から環の位置番号が決まっていないときは、cis の番号を優先する。
(解答例)
以下、「ヘキサメチルシクロヘキサン」の配座解析の例を示す。これは、歪みエネルギーの数値が、
メチル−水素の1,3-ジアキシャル相互作用:3.8 kJ/mol
メチル−メチルの1,3-ジアキシャル相互作用:15.4 kJ/mol
メチル−メチルのgauche相互作用:3.8 kJ/mol
という値であることが判っており、定量的な計算が可能である。
myo−イノシトール(cyclohexane-1,2,3,4,5,6-hexaol)の場合、メチル基を水酸基にして考える。歪みエネルギーの数値は水酸基−水素の1,3-ジアキシャル相互作用(2.1 kJ/mol)以外は不明だが、各立体配置異性体の歪みエネルギーの大小については同じ傾向である。
立体配置異性体は、次の8種類が考えられる。このうち、一番安定なものは、図一番下のようにすべての置換基がシクロヘキサン環に対して上下上下上下となったもので、すべてエカトリアル位に結合したいす形配座をとることができる。
立体配置 | 立体配座 | |||
---|---|---|---|---|
いす形配座−1 | いす形配座−2 | |||
1,3-diaxial interaction | gauche interaction | 1,3-diaxial interaction | gauche interaction | |
steric strain | steric strain | |||
3 × 15.4 kJ/mol | 6 × 3.8 kJ/mol | 3 × 15.4 kJ/mol | 6 × 3.8 kJ/mol | |
69.0 kJ/mol | 69.0 kJ/mol | |||
1 × 15.4 kJ/mol + 2 × 3.8 kJ/mol | 6 × 3.8 kJ/mol | 3 × 15.4 kJ/mol + 2 × 3.8 kJ/mol | 4 × 3.8 kJ/mol | |
45.8 kJ/mol | 65.2 kJ/mol | |||
1 × 15.4 kJ/mol + 4 × 3.8 kJ/mol | 5 × 3.8 kJ/mol | 1 × 15.4 kJ/mol + 4 × 3.8 kJ/mol | 5 × 3.8 kJ/mol | |
49.6 kJ/mol | 49.6 kJ/mol | |||
2 × 3.8 kJ/mol | 6 × 3.8 kJ/mol | 4 × 15.4 kJ/mol + 2 × 3.8 kJ/mol | 2 × 3.8 kJ/mol | |
30.8 kJ/mol | 76.8 kJ/mol | |||
1 × 15.4 kJ/mol + 4 × 3.8 kJ/mol | 4 × 3.8 kJ/mol | 1 × 15.4 kJ/mol + 4 × 3.8 kJ/mol | 4 × 3.8 kJ/mol | |
45.8 kJ/mol | 45.8 kJ/mol | |||
4 × 3.8 kJ/mol | 6 × 3.8 kJ/mol | 2 × 15.4 kJ/mol + 4 × 3.8 kJ/mol | 4 × 3.8 kJ/mol | |
38.0 kJ/mol | 61.2 kJ/mol | |||
光学異性体が存在する | ||||
2 × 15.4 kJ/mol + 4 × 3.8 kJ/mol | 3 × 3.8 kJ/mol | 4 × 3.8 kJ/mol | 5 × 3.8 kJ/mol | |
57.4 kJ/mol | 34.2 kJ/mol | |||
0.0 kJ/mol | 6 × 3.8 kJ/mol | 6 × 15.4 kJ/mol | 0.0 kJ/mol | |
22.8 kJ/mol | 92.4 kJ/mol |
(解答例)
いす形配座においては、cis-1,3- 位の2つの置換基は、ジエカトリアルまたはジアキシャルの位置にくる。より安定な配座においては、ジエカトリアルなので、分子内にひずみの原因となるような相互作用はない。したがって、2つの置換基がジアキシャルにあるときの、3つの 1,3-ジアキシャル相互作用(メチル基と水素、塩素と水素、メチル基と塩素)の和が安定性の差、15.5 kJ/mol である。
メチル基と水素、塩素と水素の 1,3-ジアキシャル相互作用は、表 4.2 より、3.8 kJ/mol、1.0 kJ/mol であるから、メチル基と塩素の間の 1,3-ジアキシャル相互作用の大きさは、
15.5 − ( 3.8 + 1.0 ) = 10.7 kJ/mol である。
(解答例)
1-norbornene の二重結合の周囲のみとり出してみると、次図のようになる。すなわち、二重結合はおよそ 90度ねじれており、2つの炭素の p 軌道もほぼ直交している。このため、軌道の重なりがないため、安定な二重結合とならない。
(発展)
norbornane は、bicyclo 化合物の体系的命名法の下では、bicyclo[2.2.1]heptane となる。(参照、4.48 発展)
(解答例)
図のようになるので、
(a) エカトリアル
(b) アキシャル
(c) エカトリアル
(解答例)
ヒントの1)、2)にしたがって途中まで描いてみたものが、次図。
ヒントの3)のように、平行線を用いながら6員環を完成させていくために、上方の赤い点と、3本のアキシャル結合の先端とを結んでいく。
できあがったこたえは、
(発展)
1) この化合物の骨格は、3箇所に切れ目をいれることにより、完全に環構造をなくすことができるので、「三環式炭化水素, tricycloalkane」である。
2) 「一番短い橋」を取り除いた、二環式炭化水素である左の化合物は、4.48(発展)で述べたルールにより、bicyclo[3.3.1]nonane と命名される。
一方の橋頭(C1)から一番長い橋(C2, C3, C4)を通ってもう一つの橋頭(C5)に達し、次に長い橋(同じ長さ:C6, C7, C8)を渡り、最後に3本目の橋(C9)を渡る。橋の長さは、[3.3.1]、全炭素数は9で、同じ炭素数のアルカンは、nonane である。
3) bicyclo[3.3.1]nonane の、3位、7位を、炭素数1の橋で結んだものがもとの三環式炭化水素であるから、これは、tricyclo[3.3.1.13,7]decane という命名となる。
4) この化合物の慣用名は、「adamantane, アダマンタン」である。
(解答例)
常にエカトリアル位にくる、4位のtert-butyl 基の「上下」を、環の下であるような形に固定して考えることにする。(1位、もしくは 3位の水酸基を固定して考えても、もちろん構わない。ただし、その場合は、常に 4位のtert-butyl 基をエカトリアル位にくるように、適宜、環の反転をおこなってやりながらいす形配座を描くこと。)
この立体異性体(3つの置換基がすべて同じ方向(下方)を向いているもの。教科書の図と同じ立体異性体。ただし、教科書の図(3つがすべて環の上方にある)とは光学異性体の関係にあるものである。)は、アセタールになり、酸素を2つ含んだ6員環をとることができる。
ここに示した3つの立体配置異性体では、水酸基の酸素の間の距離が遠すぎるから、アセタールになることはできない。
(発展)
環の番号は、4.37 と同様、水酸基の番号が最小になるように振ることを優先する。
なお、解答例で描かなかった4つの異性体は、解答例に示した配座の光学異性体である。
(解答例)
tert-butyl 基がアキシャル位を占めたときの水素との 1,3-ジアキシャル相互作用は1組につき 11.4 kJ/mol あるのに対し、水酸基がアキシャル位を占めたときの水素との 1,3-ジアキシャル相互作用は1組につき 2.1 kJ/mol である。
このため、cis-2-tert-butylcyclohexanol のように、2つの置換基のうちどちらかがアキシャル位、どちらかがエカトリアル位を占めるような立体配置異性体においては、また、環の反転の前後でいずれの異性体にも同じ大きさの 水酸基−tert-butyl 基間の gauche 相互作用があるので、この分を互いに相殺できるものとして無視すると、tert-butyl 基がエカトリアル位にある方が、もう一方に対して 18.6 kJ/mol だけ安定であると計算される。これは、ボルツマン分布から考えて、300 K の温度では、 99.94 % の分子でtert-butyl 基がエカトリアル位にあり、水酸基がアキシャル位にあることを示す。
trans-2-tert-butylcyclohexanol では2つの置換基がともにアキシャル、または2つの置換基がともにエカトリアルになることができる。ジアキシャル体では gauche 相互作用は存在しない。このgauche 相互作用の大きさを 12 kJ/mol という値(ヒントに述べた根拠より適当に見積もった値。)を用いると、ジエカトリアル体はジアキシャル体に対し 15 kJ/mol だけ安定である。これは、ボルツマン分布から考えて、300 K の温度では、 99.8 % 以上の分子でtert-butyl 基、水酸基ともにエカトリアル位にあることを示す。
従って、ほとんどの分子において水酸基がアキシャル位にあるcis-体で、より速く反応が起きると考えられる。